母国を想い、ICTでアフガニスタンの決済システム改革に挑む(神戸情報大学院大学エフサヌラー・ハッサニさん)

2015年9月14日

毎年8月19日は、国連によって定められた「世界人道デー」です。この日は、紛争や災害等で困難な生活を強いられている人々と、そうした人々の手助けを行うエイド・ワーカー双方に思いを寄せるキャンペーンが世界中で展開されます。2015年の日本においては、国連人道問題調整事務所(OCHA)神戸事務所、神戸情報大学院大学(KIC)及びJICA関西国際センターの共催で、神戸で記念イベントが開催されました。このイベントの中で、PEACE第4バッチ生としてKICに在学中のエフサヌラー・ハッサニさんが、自身の経験や視点からアフガニスタンの現状と発展について発表を行いました。

ハッサニさんは発表の中で、外国で自分がアフガニスタン人であることを紹介すると常にテロや戦争と結び付けて捉えられ、そのような偏った眼差しを向けられることへの悲しみを訴えました。「テロや戦争等の限られた一面的な情報がアフガニスタンの全てだと信じ込むのではなく、アフガニスタンには美しい自然や長い歴史の中で培われた素晴らしい文化があり、国を誇りに思うアフガニスタン人が日々暮らしていることを伝えたいのです」と語るハッサニさんからは、母国への強い想いがひしひしと感じられました。

ハッサニさんは学生時代インドに留学し情報通信技術(ICT)を学び、卒業後にアフガニスタンの農村復興開発省でICT技術者として働き始めました。働き始めると、アフガニスタンが抱える様々な社会問題を解決するためにICTを利用するという、「開発のための情報通信技術(ICT for Development:ICT4D)」という考え方に出会いました。ハッサニさんは、ICT4Dの実践に向けて、高度で幅広い知識と技術を身に付ける必要があると考えたため、PEACEプロジェクトに応募することにしました。

彼が在学するKICは、社会で活躍するICT技術者を育成するために実践的なカリキュラムを組んでおり、ハッサニさんは「アフガニスタンの公共交通機関におけるイーペイメント・システムの構築」という研究テーマに取り組んでいます。このシステムを導入すれば、バス利用において乗客が大量の現金を携行する必要がなくなり、不正確で非効率な運営状況を改善することができます。人々が日常的に利用し決済を行っている公共交通機関からこの取り組みを始め、将来的には、現在アフガニスタンでは普及していないカード決済を広く社会に浸透させることで、従来イーペイメント・システムが確立していないために機会を失ってきた、海外からの投資や新たなビジネスチャンスを呼び込むことこそが真のシステム導入の目的だそうです。

「世界人道デー」イベントの発表の中でハッサニさんは、「美しくホスピタリティーに溢れた国であるアフガニスタンの治安が安定し、外国から訪れる人々をおいしいアフガン料理でもてなせる日がいつかやってくるように、自分の専門分野を通じて母国の発展に貢献したいです」と述べました。母国を想い母国の発展に尽くす国のリーダーとして、理想とする社会の実現に向けて、必ずや日本で学んだ知識と技術を活かして活躍してくれるに違いありません。

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「世界人道デー」記念イベントの様子

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発表するハッサニさん

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学内のラボで他の学生と共同で課題に取り組む