プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)東部アフリカ地域における貿易円滑化及び国境管理能力向上プロジェクト
(英)Project on Capacity Development for Trade Facilitation and Border Control in East Africa

対象国名

ウガンダ共和国、ケニア共和国、タンザニア連合共和国、ブルンジ共和国、及びルワンダ共和国

署名日(実施合意)

2017年10月24日

プロジェクトサイト

(1)OSBP対象国境(ナマンガ、ルスモ、マラバ、ガトゥナ/カトゥナ)
(2)ウガンダ、ケニア、タンザニア、ブルンジ、ルワンダの各歳入庁の関税局関連部署(プロジェクトオフィスはナイロビ)

協力期間

2017年12月16日から2021年6月30日

相手国機関名

(和)EAC 5ヵ国歳入庁
(英)Revenue Authority in EAC 5 Countries

背景

東アフリカ共同体(East African Community::EAC)は、2000年7月に設立されて以来、加盟国を増やしながら着実に成長してきた。この成長の一因として地域統合・関税同盟をすすめるための取組や税関行政の近代化が挙げられており、特に単一関税領域(Single Customs Territory:SCT)の実施、EAC関税管理法やワンストップボーダーポスト(One Stop Border Post:OSBP)法の採択、地域通関所要時間調査や通関手続きの簡素化、各国税関管理システムの近代化、国際水準に沿った認定事業者(Authorized Economic Operator:AEO)制度の導入等、貿易円滑化を促進するための多様な努力が行われている。

しかしながら、当該地域は貿易・ロジスティックスの観点からは、未だ国境通関やインフラ面での課題を抱えている。特に主要回廊の物流効率化の観点からは、北部回廊の物流の道路輸送への過度の依存、モンバサ港の港湾運営、並びに越境の効率性などが課題として掲げられている。また、世界的なテロの脅威やサプライチェーンの複雑化を受けて、人とモノの合法的な移動の円滑化のためには、税関や国境管理分野の能力強化や関係機関・ステークホルダー間の協調体制を強化し、貿易・税関における安全とセキュリティを確保することが、ますます重要となっている。

このような背景の下、JICAは、東部アフリカ地域の各国の歳入庁及び同庁下にある関税局をカウンターパートに、税関当局、関連する国境管理機関、通関業者の能力強化を通じ、国境通関の効率化を図ることで域内の貿易円滑化に資する技術協力プロジェクトとして、「東部アフリカ地域税関能力向上プロジェクト」(2007年12月~2009年9月)、「東部アフリカ地域税関能力向上プロジェクト フェーズ2」(2009年9月~2013年9月)、及び「東部アフリカ地域における国際貿易円滑化のための能力強化プロジェクト(2013年12月~2017年12月)」を実施してきた。この活動として、ナマンガ(ケニア/タンザニア)とルスモ(ルワンダ/タンザニア)の陸路国境でのOSBPの導入と運用化や、各国歳入庁に対するリスクマネジメント(Risk Management:RM)研修実施による税関能力の向上を実施した。案件の実施においては日本税関及び世界税関機構(World Cusoms Organization:WCO)とも連携を行い、成果を上げている。

このような背景の中、EAC対象国はこれまで支援をしてきたOSBPの具体的な運用、及び他のOSBPへの支援を行うことで貿易円滑化が必要であること、また近年のテロ等の発生は違法銃器や薬物が諸外国から対象国への流入が要因となっており治安悪化を防ぐためにはセキュリティ強化が喫緊の課題であるため、効果的な国境管理を更に加速する必要がある。このことから、OSBPの効果的な運営・展開及び国境管理強化に資する税関当局の能力向上に焦点を当て、新たな支援を要請した。

目標

上位目標

東部アフリカ地域において、貿易円滑化と、安全と治安環境の確保が促進される。

プロジェクト目標

東部アフリカの対象国境において国境手続きの効率性と国境取締のための能力が向上する。

成果

成果1:OSBPが対象陸路国境において効率的かつ地域協調的に運営される。
成果2:効率的かつ効果的な国境管理のための税関当局の能力が強化される。

活動

成果1:OSBPが対象陸路国境において効率的かつ地域協調的に運営される。

ナマンガとルスモを含む、効率的なOSBP運用支援

1-1.ナマンガとルスモ以外の選定されたOSBP運営予定国境(マラバ、ガトゥナ/カトゥナ)がプロジェクトスコープに含まれる。
1-2.ナマンガとルスモOSBPでのパフォーマンス指標を確立し、運用状況のモニタリングを実施し、更に通関時間調査、その他の必要な手段により手続を改善する。
1-3.ナマンガとルスモ以外の選定されたOSBPの運用能力を調査し、課題を抽出する。
1-4.選定されたOSBPの効率的な運営のために共同国境調整委員会(JBCC)と技術実行委員会(JTC)を組織する。
1-5.選定されたOSBPの運用能力強化のためのアクションプランを策定する。
1-6.選定されたOSBPにおいて支援結果の確認及び提言の抽出のためにアクションプラン及び通関時間調査(必要に応じてインパクト評価)を実施する。

EAC地域OSBP手続マニュアル活用状況のモニタリング

1-7.ナマンガ、ルスモ及び活動1-1に基づき選定されたOSBPにおいてEAC地域OSBP手続マニュアルを活用するための計画を策定する。
1-8.活動1-7で策定した計画を実施する。
1-9.ナマンガ、ルスモ及び選定されたOSBPにおいてEAC地域OSBP手続きマニュアルやEACのOSBPトレーニングカリキュラムに反映するために、OSBP運用化とOSBP手続マニュアル利用状況から教訓を抽出する。

成果2:効率的かつ効果的な国境管理のための税関当局の能力が強化される。

リスクマネジメント(RM)強化(これまでの議論で提示された知的財産権(IPR)にかかる能力強化等を実施)

2-1.各パートナー国のRMに係る実施と手続の現状を確認し、能力強化のニーズを特定し、各パートナー国の担当者/グループを選定する。
2-2.活動2-1で特定したニーズに基づき、RM改善のための技術支援を、他の関連援助との重複を避けつつ実施する。
2-3.RMの実施状況をモニターする(MTによる情報分析に係る研修を含む)。

事後調査(PCA)能力強化

2-4.事後調査における現在の能力強化に係るニーズを確認し、PCAに関するMTプログラムについて各対象国でWGメンバーを配置する。
2-5.事後調査に係るMT要員増加のための技術支援を実施する。
2-6.必要に応じて、各国のMTが実施する研修のレベルをモニターする。

国境管理強化(グローバル・シールド・プログラム(PGS)の実施を含む)

2-7.対象国に対してPGSを紹介するとともにニーズを確認する。
2-8.活動2-7の結果に基づいて、対象国境における税関管理改善のための研修を実施する。
2-9.PGSの実施を含む運営体制を構築するとともに、更なる改善のために運用結果をレビューする。
2-10.日本の無償資金協力によって供与される機材を有効活用するための研修を実施する。
2-11.日本の無償資金協力によって供与される機材の有効利用と維持管理を含む、合同国境監視/合同水上監視(JBS/JWS)の実施状況をモニターする。

投入

日本側投入

専門家

チーフ・アドバイザー、地域人材育成協力/業務調整、OSBP運用化支援、必要に応じて税関実務等の短期専門家

研修員受入れ(日本/第三国)

必要に応じて実施

現地活動経費

現地研修実施経費、専門家旅費等、その他活動に必要な経費

相手国側投入

カウンターパートの配置

プロジェクトダイレクター(各機関の長)、プロジェクトマネージャー、各活動に応じたカウンターパートチーム

執務環境

プロジェクトの専門家及びスタッフに必要な執務スペース、機器

プロジェクト活動経費

OSBP施設、国境管理の運営管理コストを含む必要経費