アフリカでヒトと動物共通のウイルス性感染症のナゾに迫る

2021年7月1日

ザンビア共和国では北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所が主体となり、ザンビア大学獣医学部(UNZA-SVM)および大学教育病院と協力して「アフリカにおけるウイルス性人獣共通感染症の疫学に関する研究」プロジェクトが実施されています(2019年6月~)。同研究チームが2013~2018年にかけて実施した先行プロジェクトでは、特にエボラ出血熱の研究で大きな成果を得ました。エボラ出血熱は一般の人もよくご存じだと思います。感染すると致死率が90%を超える事もある恐ろしい感染症です。2014年に西アフリカでエボラ出血熱が大流行したことを受け、先の研究プロジェクトでは迅速診断キットを開発しました(北海道大学人獣感染症国際共同研究所とデンカ株式会社の共同開発)。本研究プロジェクトでは、そのキットをエボラ出血熱の多発国であるコンゴ民主共和国に供与し、現地でのエボラ出血熱対策に有効活用しています。現在のプロジェクトではこれまでの研究をさらに発展させ、ザンビア側の実施機関であるUNZA-SVMを中心とした研究者と共に新たな人獣共通感染症ウイルスの発見とその診断法の技術移転を目指しています。アフリカには人獣共通感染症を引き起こす未知のウイルスが存在している可能性が高く、コウモリ等が保有するウイルスを地道に研究しています。2020年3月にはザンビア初となる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生しました。発生当時、ザンビア国内でCOVID-19検査ができるのは本プロジェクトの実施機関であるUNZA-SVMと大学教育病院の2ヵ所しかありませんでした。今では検査機関も増えましたが、それでもUNZA-SVMには毎日600検体以上が持ち込まれています(これまで既に10万件以上の検査を実施)。現在もプロジェクトメンバーはプロジェクトの研究活動と並行しながらCOVID-19検査に昼夜を問わず日々奮闘しています。

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