CRFM-CARIFICO広域セミナー:域内における漁業共同管理の強化に向けて

2017年12月12日

2017年11月30日から12月1日にかけてセントルシアにおいて、カリブ地域漁業機構(CRFM)とともに、広域セミナー「域内における漁業共同管理の強化(Strengthening Fisheries Co-Management in the Region)」を開催しました。本セミナーには、CARIFICO対象国(6か国)を含む計15か国、ならびに漁業組合や大学、JICAからの関係者総勢約60名が参加しました。

1日目は、「漁業共同管理の今日(Fisheries Co-Management Today)」と題し、CARIFICOの活動や成果、ならびにそれらの取り組みが漁村の社会経済に与えた影響について、各国から発表と議論を行いました。また、これまでCARIFICOでは、高い技術を有する地元の漁師にリソースパーソンとして各国を訪問してもらい、FAD製作や設置、漁具漁法、アイスボックス製作、更には漁民の組織化や運営に係る技術移転を行ってもらいました。それらの功績をたたえ、ドミニカとグレナダから2名の漁師が、マスターフィッシャーマン(Master Fisherman)として表彰され記念品が贈られました。

2日目は、「漁業共同管理の未来(Fisheries Co-Management in the Future)」と題し、CARIFICO参加国による今後3年間に渡る展望と活動計画、また、漁業共同管理ガイドラインの概要について発表と議論を行いました。さらに、「CRFM−CARIFICO共同宣言」が採択され、域内における漁業共同管理の推進が参加国より支持されました。この共同宣言は、来年4月にハイチで開催されるCRFM理事会を経て漁業大臣会議へ提出され、各国大臣からの承認をもって本格的な対応が現場レベルで計られることとなる見通しです。

CARIFICO対象国外からの参加者からも、CARIFICOが高く評価され、「CARIFICOメンバー国になりたかった」という嬉しいコメントが寄せられました。特に、水産局員や漁師により、自国のみならず他の国を訪問して行ってきた域内人材交流を通じた技術移転は、画期的かつ効果的な手法としてとらえられました。一方、FADによる乱獲や混獲の可能性(注)、あるいはBillfish(カジキマグロ類)の漁獲規制が挙げられるなど、引き続き域内で対応すべき課題が浮き彫りになりました。

(注)FADに関しては、日本人専門家より、一般的に商業用の沖合表層型FADは問題があるものの、CARIFICOで用いた零細漁民用の沿岸固定型FADは、小規模な漁獲のため乱獲はなく、また、ドロップライン漁法の導入により漁具選択性を高めることで混獲も最小限に抑えられていること。さらに、FAD漁獲データや利用ルールを設定することで、資源管理に向けた予防原則的な対応をしていることを説明し、参加者からの理解を得た。

プロジェクト期間が残り5カ月を切りラストスパートに入ったところで、本セミナーから得られた各国からの貴重な意見も包括的に取り入れつつ、最終成果品である漁業共同管理ガイドラインの作成に引き続き取り組んでいきます。

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セントルシアのスタニスロス農林水産大臣からのスピーチ

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CRFMミルトン局長からのスピーチ

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会場全体の様子

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各国の水産局からの参加者(向かって左から、アンティグア・バーブーダ、バルバドス、ドミニカ)

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各国の水産局からの参加者(向かって左からグレナダ、ガイアナ、ハイチ、ジャマイカ)

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フロリダ大学から参加したモンテス博士(左)とシドマン教授(右)

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グレナダのマスターフィッシャーマン、ローヤン氏からのスピーチ

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ドミニカのマスターフィッシャーマン、バーテリー氏への記念品贈呈

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JICA田村専門家による発表

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JICA石田専門家による発表

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セントビンセント・グレナディーン諸島、ハワード水産局長による発言

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セントルシア、リタ水産局員による発言

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CRFM-CARIFICO共同宣言の採択

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セミナー参加者全員の集合写真