神戸で学んだ防災の心、コスタリカ国コバノ地域の学校防災教育で効果を発揮−1人の犠牲者もださなかったM7.3の地震−

2017年9月20日

作成者:伊良部秀輔(コスタリカ、グアテマラ、CEPREDENAC担当長期専門家)

BOSAIプロジェクトフェーズ1のコスタリカ優良事例であるEscuela BOSAI(読み方:エスクエラ ボウサイ/直訳は学校防災)の取組みが、2011年から継続して2017年の今年で6年を迎えます。毎年国際防災の日(10月13日)前後に実施ていますが、今年は10月25日に約500名の児童生徒及び関係者が参加して学習発表会が実施される予定です。

この活動は、帰国研修員(2010年神戸で実施の中米防災対策研修)であるLesly Centeno先生が帰国後に始めた”五感をフルに使った”防災教育の取組みで、コバノ地域の複数の小学校で展開されています。
昨年2016年には、同先生をチリで開催された防災教育ラテンアメリカ会合に講師としてJICAコスタリカから派遣し、その経験を共有して頂いています。

一年を通じた防災教育カリキュラムの実施、及びその集大成として年一回複数校が一堂に会する防災学習発表会(Feria de Escuela BOSAI)が、持続性のある教育活動として実施されています。

この取り組みは、コバノ地域の防災委員会、市議会、PTA、教育省コバノ地域管轄も支援している活動で、ここ最近は地元企業の協賛も得て児童生徒に景品や賞を授与するなど民間セクターの巻込みも実現しています。

その効果は、2012年9月のM7.3の地震発生(最大震度は改正メルカリ震度階の8)の際に実際に証明され、学校での避難行動が円滑・効果的に実施され児童生徒のけが人は一人もでませんでした。
BOSAIプロジェクトフェーズ1による支援、神戸で学んだ防災の心が、コスタリカの地震災害の被害軽減に役立ちました。Lesly先生はじめ、関係者からは神戸で研修に関わっていただいた全ての人に感謝の念が伝えられています。

この効果を受けて、それまで防災教育に懐疑的だった先生方やPTAも態度を変え、積極的にこの活動を支援するようになっています。

BOSAIプロジェクトフェーズ2では、フェーズ1での優良事例・優良な活動への支援を今後も継続しながら、コスタリカ国の地域防災能力強化、災害被災者数の減少に向けて取組んでいきます。

参考資料

【画像】コバノ地域でのFeria de Escuela BOSAIの様子(2011年撮影。撮影者:伊良部)。今年は2017年10月25日に、参加生徒数を約500名に増やし開催される予定。

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自助についてジェスチャーを通じて学ぶ児童生徒。両掌を胸にあてて自助を表現し学ぶ。Lesly先生が、神戸での研修参加後に考案した教育手法。(撮影者:Lesly Centeno)

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共助についてジェスチャーを通じて学ぶ児童生徒。両手を結んで共助を表現し学ぶ。(撮影者:Lesly Centeno)

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公助または外助についてジェスチャーを通じて学ぶ児童生徒。両腕を拡げて公助または外助を表現し学ぶ。(撮影者:Lesly Centeno)