パナマ地方分権フォーラムで日本人専門家と帰国研修員が大活躍!

2017年10月27日

開催日:2017年10月26、27日

2017年10月26日と27日に、パナマにて第2回地方分権フォーラムが開催され、日本人専門家と帰国研修員2名が連携する形で防災に関する発表が行われました。

パナマでは2016年1月に地方分権法が施行され、それを機に毎年1回全国の市長及び市職員が参加する地方分権フォーラムが開催されています。昨年の第1回フォーラムでは、法律の施行間もない時期であったため、「地方分権法とは何か?」「予算規模はどの程度か?」「どのように予算申請し、執行するのか?」という手続き的な話が多かったのですが、第2回目である今年は1年目の実績・課題発表が行われるとともに、各自治体に取り組んでもらいたいテーマが別途議題に挙げられました。そのテーマが「防災」です。

地方分権フォーラムで防災がテーマとして取り上げられたのには、3つの大きな要因があります。一つ目は、仙台防災枠組の優先行動の一つとして「災害リスクガバナンスの強化」が規定されたことで、パナマでも自治体の防災能力・ガバナンス機能を強化していく動きがあったことです。二つ目は、ハリケーンの襲来を受けることがほとんどないパナマにおいて、昨年ハリケーン・オットーにより全国的な被害が発生したことです。これにより国・自治体・住民レベルでの防災体制強化の必要性を痛感したパナマ政府は、地方分権の流れに合わせて自治体の防災体制強化に向けて動き出しています。そして3つ目は、自治体の防災体制強化の中核を担う人材を日本での防災研修に派遣したことです。

第2回目の本フォーラムでは、まず、日本人専門家が日本の防災体制として、国・都道府県・市町村・住民レベルのそれぞれで防災上の役割が法律で定められていることを紹介し、それらを踏まえたパナマで実施中のプロジェクト活動について発表しました。その後、防災機関であるパナマ災害対策機構(SINAPROC)自治体強化担当のレジェス・ヒメネス氏(帰国研修員)により、「自治体防災ガイドライン」などSINAPROCによる自治体への防災協力についての説明が行われました。最後に、このフォーラムを主催し、地方分権の取り組みを進める地方分権庁のペドロ・ミランダ氏(帰国研修員)が、自治体防災を進めるための予算措置や法律の改正案などを発表しました。ミランダ氏によると、今年12月の国会に地方分権法の改正案を提出予定であり、そこには自治体防災担当の任命についての記述が追加されるとのことです。今回は日本での研修成果を多くの関係者、関係機関と共有する機会になりました

このように、日本人専門家と帰国研修員の協力で、地方分権フォーラムの防災枠は無事に終了しました。終了後、各帰国研修員に対して、日本の研修の何が役に立ったかを尋ねたところ、「国や自治体それぞれに防災上の役割分担があること」「どのような地方の防災能力強化を日本が行っているのかを具体的に知れたこと」がとても参考になったと話していました。

本プロジェクトでは、日本人専門家等による現地での活動・研修に加え、防災の知見を直接伝える日本での研修なども組み合わせることにより、他国が真似できない国際協力を実施しています。そして、こうした日本の協力を受けた帰国研修員たちが、今後その国の発展を支えるキーパーソンとして活躍していくことでしょう。

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地方分権フォーラムには、保健大臣、大統領府大臣等も参加

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会場は少なくとも300人以上が参加

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日本人専門家の発表

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レジェス・ヒメネス氏(防災機関)の発表

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ペドロ・ミランダ氏(地方分権庁)の発表

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ペドロ・ミランダ氏(地方分権庁)と日本人専門家で記念撮影