火山周辺自治体及びコミュニティへの早期警戒ネットワークの構築支援

2018年4月3日

2018年1月から4月までの間、BOSAIプロジェクトフェーズ2の27の対象地域において、グアテマラ防災機関SE-CONREDにより無線機の操作実地研修が開催されました。同地域は山岳地域のため、噴火時の連絡手段が重要課題になっていましたが、火山活動監視情報の共有化が図られることにより、噴火による被災者数の軽減に大きく貢献することが期待されています。また、本研修はグアテマラの全国紙でも紹介されました。

BOSAIプロジェクトフェーズ2の対象地域火山(パカヤ火山、サンティアギート火山)周辺のコミュニティは山岳地域であることから、携帯電話の電波の通じない地域があるなど、噴火時の連絡手段の確保が重要課題となっていました。また、火山の噴火の様子が直接目視できるコミュニティもあれば、谷間にあるために火口からの距離が近いにも関わらず噴火の様子が直接目視できないコミュニティも散在します。これらコミュニティ間の情報共有の仕組みを確保する1つの手段として、複数の無線機の設置によるネットワーク化が望まれていました。

火山周辺のプロジェクト対象地域には貧困ラインでの生活を余儀なくされているコミュニティもあり、無線機設置にあたっては電源の供給も大きな課題となります。電気代が支払えない為に無線機の運用が停止してしまうことのないように、配備する無線機は蓄電池(自動車用バッテリー)と太陽光パネルで電源を確保する仕組みを採用しています。
今回の研修では、27のコミュニティリーダに対して太陽光パネルや蓄電池の概要を説明し、維持管理の重要性を理解してもらいました。その後、参加者にパネル、蓄電池、DC/AC変換機、そして無線機をつないでもらい、各装置の接続や維持管理時の注意点を説明して使用可能な状態にしてもらいました。
研修の最後は接続した無線機を使い、実際に2名で交信の練習をして終了しました。本研修には、男性のみならず女性も多く参加しています。男性の多くは積極的に装置を触って学んでいましたが、女性の多くは「装置を触って壊したらどうしよう」、「私にはできない」といった心理的な壁を研修当初は持っていたようでした。無線機がコミュニティの為になるということへの理解が進むにつれ、また、参加者同士の励ましもあり、後半には全ての参加者が、各装置の接続、そして無線機での交信練習までを達成しました。

なお、プロジェクトを通じて購入された27の携帯無線機と4つの設置型無線機は本年中にグアテマラにある2つの活発な火山の周辺コミュニティに配置され、今後は住民による日頃の火山活動監視情報を防災機関と共有し、火山周辺コミュニティ間の通信体制が整備されることになります。
これにより、関係者間での一刻も早い情報共有が可能となり、居住地域に大きな影響を及ぼす可能性のある噴火やラハール(火山性泥流)発生時の被災者数の軽減に大きく貢献することが期待されています。

写真資料

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無線機交信の練習の様子。パカヤ火山周辺コミュニティ。

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参加者が電源、ソーラパネルを接続する練習。地元の高校生も3名参加した。パカヤ火山周辺コミュニティ。

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火山周辺での情報共有ネットワークについて説明するJICA専門家。パカヤ火山周辺コミュニティ。

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太陽光パネルについての説明。パカヤ火山周辺コミュニティ。

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自治会会長も出席して通信設備について学んだ。写真中央の人物が自治会会長。パカヤ火山周辺コミュニティ。

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グアテマラ全国紙に掲載された記事。サンティアギート火山周辺での研修の様子。