コミュニティ防災組織主導による初動確認のための避難訓練を実施しました

2018年11月6日

2018年11月6日、El Rodeo(エル ロデオ)コミュニティにて、パカヤ火山地域で初めてとなる避難訓練がプロジェクトの支援により実施されました。日本人専門家チーム、グアテマラ国防災調整局(SE-CONRED)職員、及びプロジェクト活動によって組織されたコミュニティ防災組織メンバーの間で調整・準備を繰り返し、訓練がようやく実現しました。

El Rodeoコミュニティは、パカヤ火山のふもとに位置する総人口約400名の小さな村です。パカヤ火山は、首都グアテマラシティ中心部から約23キロメートル南西に位置していますが、2010年5月の中規模噴火の際、首都の国際空港が火山灰堆積により閉鎖し、火山近傍では、メディア関係者1名が噴石の直撃を受けて亡くなるという火山災害を発生させました。この際、El Rodeoコミュニティにはこぶし大の噴石が降り注ぎました。地形の影響から、この村には携帯電話の電波も十分には届かず、隣村に通じる道も舗装されていないため、緊急車両も迅速に到着する事ができません。そのため、噴火に対する住民の備えが重要になってきます。

今回の避難訓練では、午前7時30分からSE-CONRED職員とコミュニティ防災組織メンバーで当日準備が行われ、午前9時過ぎに住民と児童生徒の避難開始となりました。隣のコミュニティまでのおよそ1キロメートルを、15分程で約60名の住民と児童生徒が徒歩で避難ルートを移動しました。El Rodeoコミュニティで初めての避難訓練ということで、プロジェクト活動によって組織された13名のコミュニティ防災組織メンバー全員が緊張した面持ちで訓練を主導しました。訓練実施後、隣のコミュニティの広場で、コミュニティ防災組織のメンバーに対する基本装備等の供与式典が開催され、プロジェクトから、携帯無線機、ヘルメットや認識ベスト、火山BOSAIマップ等が供与されました。避難訓練並びに供与式典には、市、社会開発省、保健省、INSIVUMEH(日本の気象庁に相当する機関)、及びNGOも参加して、それぞれのスピーチの中で避難訓練実施の重要性、住民が参画する事の重要性と火山防災への継続的な取り組みについて言及されました。

訓練実施後の評価会では、避難の初動を確認する訓練である事、防災組織メンバーを含め、住民全員が警戒避難レベルをしっかり理解する事等、日本人専門家チームから改善点について共有されました。参加したコミュニティ防災組織のメンバー全員から、「最初はとても緊張したが、訓練を実施してとても良かった」、「訓練を通じて多くを学んだ」など自信に満ちたコメントが聞かれました。プロジェクトでは今後も同様な支援をしていく予定です。

(執筆者:グアテマラ長期専門家 伊良部 秀輔)

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噴石に見立てたトマトを放り投げるコミュニティ防災組織メンバー。マスクをきちんと着用して逃げる人もいる。

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隣のコミュニティに向けて徒歩で避難。噴石からバッグで頭部を保護する住民。

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隣のコミュニティに避難後、1家族が不明である事を確認して対応を協議するコミュニティ防災メンバー。

【画像】コミュニティ防災組織メンバーと参加組織の集合写真。