地震防災教材進捗ワークショップが開催されました

2019年1月16日

2019年1月16日、ニカラグア防災機構(SINAPRED)と防災関連省庁の地震防災に係る知見を共有するため、防災関連省庁を招いた地震防災教材進捗ワークショップを開催しました。

本ワークショップの1つ目の目的は、これまでSINAPREDとともに作成してきた地震防災に関する知見を共有し、こうした知見が地震防災上の効果をどれだけもたらすのか検証することです。

地震防災教材自体は地域住民向けに作成したものであるため省庁関係者向けではないのですが、彼らも家に帰れば一人の住民です。また地震がどこでも起こり得るため、効果測定の対象としてこの機会を設けました。まず、ワークショップ前に「何か地震対策をしていますか?」とアンケートを取ってみました。各省庁の防災担当が集まっていることもあり、ほぼ全ての参加者が「対策をしている」と回答していました。しかしながら、その対策は本当に正しいのでしょうか?例えば、回答が多かったものに「非常用持ち出し袋の準備」や「避難ルートの確認」があります。これ自体は誤りではありませんが、それが地震防災で最も重要なことなのでしょうか?

地震に対する最も重要な備えは、地震による被害を軽減する、例えば、地震で亡くならないための対策をすることです。つまり耐震補強と家具の固定です。非常用持ち出し袋の準備や避難ルートの確認も大事ですが、これらの対策は生き残った後で初めて威力を発揮する、いわば「生き残ったことが前提の対策」です。こうした生き残った人のための対策の他、「生き残るための対策」として耐震補強と家具の固定、或いは建築基準に則った建物を建てることに対する参加者の意識と知識をどれだけ高められるかが本ワークショップのポイントです。

そこで活躍するのが日本の地震対策の教訓です。例えば1995年の阪神淡路大震災では6,000人以上の方が亡くなられましたが、その多くは地震発生直後に亡くなったという調査結果があります。そして、その原因は建物の倒壊や家具の転倒による圧死とのことです。こうした日本の経験を伝えることで、生き残るための対策の重要性を、実感を以って伝えることができます。ワークショップ後にもアンケートを行ったところ、ほぼ全ての参加者が耐震補強や家具の固定、或いは建築基準に則った建物の建設が重要であると答えるとともに、今後実施したい対策に挙げていました。まだまだ改善の余地はありますが、アンケート結果を見る限り一つ目の目的はある程度達成できているとみることができますし、今後こうした教材を活用した地震防災の普及が期待されます。

2つ目の目的は、地震対策に関する各省庁の取り組みを提供してもらい共有することです。

地震に限らず、防災は全ての関係者がそれぞれにできることを最大限に実施することでその被害の最小化を図ることができます。つまり「自助・共助・公助」の連携が重要となります。日本でも行政が耐震基準の見直しを行ったり、防災情報を住民に提供したりするなどして行政と地域が連携した防災を推進しています。そこで地震防災教材には、ニカラグア行政機関が実施している様々な地震防災対策も盛り込むことにしています。

日本でも、1995年の阪神淡路大震災の教訓から「自助・共助・公助」の概念が生まれました。ニカラグアでもこうした概念が普及し、ニカラグア国民みんなの協力のもと地震被害の軽減が達成されるように、BOSAI2でも引き続き教材の改善と普及に取り組んでいきます。

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専門家による地震教材の紹介と説明

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ワークショップの内容に耳を傾ける参加者

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ワークショップの内容を真剣に書き留める参加者