コミュニティ防災活動のファシリテーター育成の推進および「タイムライン計画」策定研修の実施

2019年2月20日

2019年1月28日から2月20日の間、コスタリカのパイロット4市(アラフエリタ市、アセリ市、エスカス市、デサンパラドス市)のコミュニティ防災活動ファシリテーター育成を目的に、市役所防災担当者、市の防災委員会及びコミュニティリーダー向けに避難所運営ゲーム(HUG:ハグ)の研修と土のう演習を行いました。また、パイロット4市役所の防災担当者、防災関係機関となる保健省、赤十字社、警察などが参加し、災害に備えるためのツールとしてタイムライン策定研修も実施しました。

HUGは、静岡県危機管理部が過去の日本の地震災害の経験をもとに開発した避難所運営のシミュレーションゲームです。避難所運営のマニュアルを持っていても、机にしまってしまい、いざというときに実践できるのかどうか、普段はなかなか考えが及ばないものです。避難所運営も、避難訓練と同様に実践が大切です。そこで、このゲームでは、さまざまな問題を抱えてやってくる被災者をどのように受け入れるか、支援物資やボランティアの受け入れなどのロジスティクスにどのように対処するかについて、状況付与カードを使い、実際に避難所のレイアウト図に重ねていくことで、ブレインストーミングをします。パイロット4市で実施したHUGは、参加者らの評価が非常に良く、コスタリカ中央防災機関が作成した現在の避難所運営マニュアルを参照しながら参加したメンバーもみられ、楽しみながらも真剣にゲームに取り組んでいる姿がみられました。また、研修後の意見交換の場で市役所防災担当者からは、「本研修を通じて、HUGが市の防災活動として導入し易く良いツールであることがわかりました。中央防災機関とも調整して、コミュニティ向けにHUGの研修を実施したい、そしてコスタリカの状況に合わせたHUGカードの更新作業にも市役所からのフィードバックを提供したい」との意欲的なコメントがあり、HUGのコスタリカでの今後の活用が期待されます。

また、タイムラインとは、災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理した計画です。国、地方公共団体、企業、住民等が連携してタイムラインを策定することにより、災害時に連携した対応を行うことができます。(国土交通省HPより)パイロット4市で実施したタイムライン研修では、市役所の防災担当者の他、防災関係機関となる保健省、赤十字社、警察などが参加し、各市のタイムライン案を作成する目的で研修を行いました。プロジェクトマネージャーからは、「コスタリカにおける機関間の連携には課題が多いものの、日本で活用されているタイムラインは非常に有効なツールである」また、「コスタリカで形成されている雨量計測を行うコミュニティ気象ネットワークからの情報はタイムラインにとっても有効である」とコメントし、タイムライン策定への期待感が伺えました。

プロジェクトでは、コミュニティ防災活動普及のため、ファシリテーターの育成、災害に備えるためにパイロット4市のタイムライン策定活動が続きます。

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避難所運営ゲームHUGで通路や避難者の配置をグループで協議する様子

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HUGの状況付与カード(左:日本語、右:スペイン語)

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土のう演習で土のう袋に砂を詰めている様子

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タイムライン策定研修の様子