2019年第1回サンティアギート火山地域火山防災協議会が開催されました

2019年3月18日

2019年3月18日、グアテマラ共和国内のプロジェクト対象地域であるサンティアギート火山地域において、2019年第1回サンティアギート火山地域火山防災協議会が開催されました。

本会議には、カウンターパート機関である国家防災調整庁(SE-CONRED)の地域担当官や火山ユニット技官、避難所運営の担当機関である大統領夫人庁(SOSEP)、食料安全庁(SESAN)、教育省(MINEDUC)、市役所、県などから40名が参加し、火山防災協議会の役割が再確認されました。また、サンティアギート火山の所在するケツァルテナンゴ県の県知事も参加し、本協議会の役割の重要性について、地域の為政者にも理解されつつあります。

今回は、協議会メンバーに避難所運営ゲーム(HUG)手法を紹介するとともに、避難所運営についての実践的な準備能力の向上を目的に、HUG手法の研修が日本人専門家チームの小野寺専門家の指導のもと行なわれました。
HUGは、静岡県で開発された避難所運営をシミュレーションするゲームであり、避難者に見立てたカードを避難所のレイアウト上に配置していくといったものです。
防災研修というと、多くの場合、マニュアルや計画を覚えることが研修の目的になりがちですが、いざというときに本当にマニュアルが機能するのかを知る機会はあまりないことから、今回、日本で広く取り入れられているHUG手法を紹介して、ノウハウを学んでもらうこととなりました。
避難所運営に関する定まったルールを運用するだけではなく、本当にそのルールで運用してよいのかの気づきを得ることも大切であるため、これら気づきから避難所運営に関するルールやマニュアルのさらなる改善案を見出すことができるようになります。

グアテマラでのHUG研修開催は、前回のパカヤ火山地域に次いで2回目となり、パカヤ火山地域での研修同様、今回のサンティアギート火山地域でも、防災関係機関の方々に好意的に受け入れられました。
参加者からは「マニュアルや手順は、決められたものを頭で理解しているが、実際にHUG手法を使って疑似体験することで、より現実の対応に近い決断をせまられるなど、非常に実践的な演習だった」「感染症事例が発生した際などの対応にも応用できる演習形式で、とても有効であると感じた」「ペットへの対応や妊産婦への対応など、事前に考えておくべき課題が明確になった」等のコメントが聞かれました。
特に、教育省の職員からは「発災時に多くの場合、避難所となる学校施設を対象にHUG手法での演習を実施していきたい」といった要望もあり、今後教育省とも調整をしながら実現していく予定です。

今回参加したグアテマラの防災関係者からは「HUG手法をより広くグアテマラ国内に広げていきたい」というコメントもあり、避難所運営や事前の準備態勢の改善を目的とした同手法を普及させていく取組みを、プロジェクト終了予定の2020年6月末まで続けていく予定です。

作成:伊良部 秀輔(長期専門家)

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火山防災協議会の参加者。赤十字職員も参加して、避難所運営についての対応力を高めた。写真右端はケツァルテナンゴ県知事

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HUG演習の様子。食料安全庁職員(写真右から3番目)、県職員(同右から2番目)、警察官(同右端)等が避難者への対応について議論している

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HUGについて説明する小野寺専門家

【画像】参加者集合写真