JICA帰国研修員による出前授業「火山って何?」が、火山活動が顕著な地域の小学校とコミュニティで行われました

2019年6月13日

2018年6月、中米広域防災能力向上プロジェクト・フェーズ2(BOSAI2プロジェクト)のカウンターパート機関である国家防災調整局(SE-CONRED)から2名の職員がJICA課題別研修「中南米地域火山防災能力強化」に参加し、約1か月間日本の火山防災の取組みについて学びました。
帰国後、2名の職員は、研修での学びを通じて作成したそれぞれのアクションプランを持ち帰り、そのプランの実施に取り組んでいます。今回はその中の1人、ウィリアムさんの帰国後の活動を紹介します。

グアテマラには、現在活動が顕著な4つの火山(フエゴ火山、パカヤ火山、サンティアギート火山、タカナ火山)があり、その内の1つをウィリアムさんが担当しています。ウィリアムさんは、自身のアクションプランとして、学校での児童生徒への火山防災出前授業を計画し、実施してきました。
日本の本邦研修からグアテマラに帰国後、雨期が収まった2018年11月頃から活動を開始し、2019年6月までに、3つの小学校、1つのコミュニティ防災組織に対して、全4回の出前授業を行い、延べ約180名の児童生徒、8名のコミュニティ防災委員に講義を行いました。

授業では、本邦研修で学んだ「火砕流再現キット」を用い、周囲の大気との密度の違いにより火砕流が山頂から裾野に向かって流れ下る様子や、火砕流に勢いがあるとその勢いで近くの尾根を越えてしまう場合もあるなど、簡単な実験で児童生徒に火山防災の基礎知識を教えています。また、「火山がなぜグアテマラにあるのか」などの基本的な火山の知識を記述した三つ折りパンフレット「Que es un Volcán?(訳:火山って何)」を作成し、出前授業の教材として使用するなど、防災教育を進めています。BOSAI2プロジェクトでは、内容作成にあたり、伊良部長期専門家が監修を行い、パンフレット1000部を印刷する支援を行いました。
多忙な現場での業務の合間を縫って出前授業を行うウィリアムさんは、「児童生徒そして学校の先生が火山について、そして火山防災について、簡単な実験を通じて理解を深めてもらう、意識をもってもらうのが重要だと思います。また、子供達にもっと火山について理解を深めてほしいと思います」と熱意をもって語り、着実にアクションプランを実施しています。

ウィリアムさんは、引き続き担当火山周辺の学校等で出前授業を継続し、仙台防災枠組2015-2030の優先行動の1番目「リスク理解」の促進を、防災をこれから担う次の世代を対象に、現場から着実に進めていかれるとのことで、BOSAI2プロジェクトでは、ウィリアムさんのようなグアテマラの防災人材の育成を支援していきます。

作成:伊良部 秀輔(長期専門家)

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児童と一緒に火砕流再現キットで火砕流を再現する様子。写真左がJICA帰国研修員のウィリアムさん

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火山防災出前授業を受けた児童生徒の様子

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火砕流再現キットを使って楽しく火山防災について学ぶ様子

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火山防災学習パンフレット。Que es un Volcán?(訳:火山って何?)が1000部印刷され、学校での火山防災出前授業に使用されている