サンフアンデルスール市にて、津波防災祭りが初めて開催されました-BOSAIフェーズ2による経験交流の成果-

2019年9月2日

2019年9月2日に、BOSAIフェーズ2対象市であるサンフアンデルスール(San Juan del Sur)市において、津波防災祭りが初めて開催され、1992年ニカラグア津波の経験等が共有されました。

サンフアンデルスール(San Juan del Sur)市では、これまでも市主導による津波記念行事が開催されていましたが、より多くの市民の参加を得る方法を模索していました。一方でもう一つのプロジェクト対象市であるレオン(Leon)市は、サリーナスグランデス(Salinas Grandes)地区において住民主導の津波防災祭りの経験を有していました(注)。そこで、同地区との経験交流を行ったところ、同様のイベントをニカラグア津波記念日(毎年9月1日)に合わせてサンフアンデルスール(San Juan del Sur)市でも実施する運びとなりました。

サリーナスグランデス(Salinas Grandes)地区同様に、サンフアンデルスール(San Juan del Sur)市の津波防災祭りは、津波に関連した装飾が施された展示車と市防災委員会メンバー、市長を含めた市役所職員、小中学校の児童生徒らよって行進からスタートしました。行進には中学校のブラスバンドも参加しており、打楽器による演奏が多くの市民の興味を引き付けます。

市役所からスタートした行進は街中を通り、中央公園まで約2kmに渡って行われました。そして中央公園には、各省庁や小中学校で作成した津波展示が準備されていました。市役所の展示スペースでは、ニカラグア津波の写真で当時の津波被害を振り返りつつ、プロジェクトが推奨するニカラグア津波避難三原則(1.揺れたらすぐ避難!、2.サイレンが鳴ったらすぐ避難!、3.海岸地帯に戻らない!)の紹介を行っていました。また、海岸付近の小学校ではニカラグア津波について事前に調べていたようで、その内容の発表が行われました。
子供たちが参加することで、その保護者も一緒に行進し、津波展示に足を運んでいる様子も確認することができ、児童生徒が約300名、保護者を含めた大人も約100名が参加した盛大な津波防災祭りとなりました。

今回のイベントは市が主体的に計画・実施したもので、プロジェクト側の支援はほとんどありませんでした。また、イベント内容はレオン(Leon)市のサリーナスグランデス(Salinas Grandes)地区との交流が活かされた内容となっており、これはまさにプロジェクトが目指していることで、持続的な防災活動実施のためのカウンターパート機関の主体性向上と、グッドプラクティスの共有が具現化された成果であると言えます。

災害はいつ起こるか分かりませんが、こうした市の主体性があれば持続的な防災活動が展開され、いつの日か起こる津波にも対処できる市であり、コミュニティの形成に繋がります。
BOSAIフェーズ2では、防災機関及び市の持続的な防災活動実施能力強化のために、引き続き各機関主導の防災活動の実施・展開を支援していきます。

作成:川東 英治(長期専門家)

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津波に関する装飾が施された展示車に乗る子供たち

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行進に参加する生徒たち

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市役所の展示スペースではニカラグア津波の写真と避難三原則の紹介を行っていた

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子供たちによるニカラグア津波に関する発表