プロジェクトで作成した津波防災教材が全国の防災研修プログラムで使用されました

2019年9月5日

2019年8月27日から9月5日までのあいだ全国で実施されたニカラグアの防災研修プログラムである国家研修計画において、プロジェクトで作成した津波防災教材が使用されました。研修には全国で1,200名以上のニカラグア人が参加しました。

9月1日は、1992年に170名もの犠牲者を出したニカラグア津波が発生した日です。そのため、この時期はニカラグア津波を記念した様々なイベントが開催されましたが、ニカラグア国家災害管理・防災システム局(CD-SINAPRED)が実施したのが、全国での津波防災研修です。その研修で使用されたのが、プロジェクトで作成した津波防災教材です。

同教材の作成過程においては、日本人専門家がCD-SINAPREDの研修部門や防災関連省庁と何度も議論を重ねました。また、半日の研修で毎年実施される国家研修計画の特性を把握した上で、毎年内容を変えられるよう複数編の教材として編纂し、2時間程度で津波防災に必要な知識を体系的に学べるように構成しています。
今回はその1編である津波のメカニズムに関する研修が実施されました。

1992年のニカラグア津波の教訓の一つに、「住民が津波のことを知らなかった」ことが挙げられます。そこで津波という現象に対する知識を深め、適切な対処方法を学ぶことを目的として津波のメカニズム編を作成しました。

教材はイラストや映像資料・ニカラグア津波経験者へのインタビューなどを用いて、津波の知識がない人でも分かりやすい内容となるよう配慮しています。そして津波防災教材の最大の特徴は、全ての項目を学んだ後に同じ内容のビデオが上映されることです。このビデオがあることで、聞き逃しなどを防ぐとともに、学んだ内容を忘れてしまった場合でもビデオで復習することが容易となります。また、現場でこのビデオを流すだけでも防災普及活動に繋がり、市防災職員などの活動負担を軽減することにも役立ちます。実際に研修に参加した首都マナグア市の市長からは、「このような簡易で分かりやすい映像資料が住民への普及に大変役に立つ」と称賛の言葉を頂きました。

ビデオ教材は全ての災害種で作成を進めているところですが、津波編を先行して作成していたため、今回の研修に間に合わせることができました。そして今回の反響・成果から、予想していたとおり非常に高い評価を得られることが分かりました。

1か月後には地震をテーマにした国家研修計画が実施される予定であり、プロジェクトで作成した教材が使用されます。また、1年後(プロジェクト終了後)にはCD-SINAPRED主導のもと、次の国家研修計画(津波編)が開催されることでしょう。そしてそこにはプロジェクトで作成された津波防災教材第2編、第3編が使用されるはずです。
このようにBOSAIフェーズ2では、ニカラグアの研修プログラムに合わせた持続的な研修実施と、そのための防災教材作成に引き続き貢献していきます。

作成:川東 英治(長期専門家)

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CD-SINAPRED研修担当による国家研修計画の実施

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リバス県で実施された研修の様子

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津波防災ビデオを真剣に見るレオン県の参加者

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マナグア県で実施された研修の様子