テグシガルパ市のコミュニティで避難訓練を実施しました

2019年9月7日

2019年9月7日に、テグシガルパ(Tegucigalpa)市の4つのコミュニティを対象にした土砂災害避難訓練を行い、ホンジュラス緊急事態対策常設委員会(COPECO)、テグシガルパ市役所、地域住民を合わせて130名が参加しました。

これまでの3回にわたる土砂災害防災研修のなかで、「地域の土砂災害リスクと経験の共有」「避難ルート及び避難基準の確認」「避難計画の作成」が行われましたが、これらの成果の集大成として、避難計画に沿った避難訓練を実施する運びとなりました。

避難訓練当日は朝7時から関係者が集まり、入念な準備と最終確認を行いました。そして朝9時から避難訓練がスタートです。
とはいえ、地震の避難訓練のように訓練開始直後に避難をするのではありません。この地域は2008年に長雨の影響で地滑りが発生したことから、まず行政機関が雨量に注意を払うところから始まります。そして何より、住民が主体的に避難実施を決断できるよう、住民自身が判断材料を探すことがこの避難訓練の最大の特徴です。
具体的には、COPECOは熱帯低気圧の到来や雨量に関する情報を県レベルで流し、また市防災委員会(CODEM)は土壌水分量を考慮した警戒情報を市レベルで送ります。さらに地域住民は住居周辺に異変が起きていないかを確認し、行政機関からの情報と地域で得られる情報の双方を分析し、避難基準に達していないかを検討します。

避難の際には負傷者や避難要配慮者の確認と必要に応じて支援を行いながら、各コミュニティ近隣の地滑りが発生しない比較的安全な場所、つまり一時避難場所を目指しました。そして避難した人数の確認を行い、さらに避難所へ移動しました。避難所ではコミュニティ住民があらかじめ配置されていた行政機関職員に対し、最終的な避難者数の報告を行って訓練を終了しました。
この地域では、しばらくこうした住民主体の避難訓練をしていなかったこともあり、最初は戸惑う部分もあったようですが、COPECO、テグシガルパ市、そして住民の積極的な参加により成功裡に終了しました。

BOSAI2プロジェクトでは、今回の避難訓練で明らかになった反省点を今後の活動に活かしていくとともに、引き続きホンジュラスの土砂災害による犠牲者ゼロを目指す取り組みを推進していきます。

作成:川東 英治(長期専門家)、杉本 要(長期専門家)(文責)

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急な階段をゆっくり下りながら避難する住民

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一時避難場所の様子

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テグシガルパ市役所が現場指揮システム(ICS)を活用し命令系統の統一を図った