効率的な噴火災害対応を目指したタイムラインが完成しました

2020年2月21日

2020年2月7、12、18、21日の4日間、プロジェクト対象地域である2つの火山地域(パカヤ及びサンティアギート火山)で、組織間連携強化とコミュニティのより迅速かつ効率的な避難体制整備を目的として、タイムライン作成会合が開催されました。タイムラインの導入については、近年の日本におけるタイムラインの適用による災害対応能力の向上効果を受け、プロジェクトを通じて技術移転を行っています。
なお、この会合は、仙台防災枠組2015-2030の優先行動である「防災ガバナンスの強化」及び「効果的な応急対応のための災害への備えの強化」に沿った取り組みとして実施されました。

会合は、プロジェクトの一つの柱である組織能力強化を担当する日本人専門家チームの前原コンサルタントチーム専門家が実施し、2017年のタイムライン作成開始から、これまで多くの関係者間で協議してきた結果として、この2月に最終案が完成しました。

以下、同技術移転を主導した前原コンサルタントチーム専門家の報告書から引用します。

「市レベルの災害対応能力強化のための活動として、火山災害の危険が高まるとき、市及び火山災害に関係する組織が連携して、住民を安全に避難させるために、「いつ」「誰が」「どのような行動をとるべきか」を時系列に整理したタイムライン計画の作成に取り組んできました。
本活動は2017年4月に、パカヤ及びサンティアギート火山地域の火山防災協議会のメンバーを対象として、ワークショップを重ねてきたものです。各市の防災担当が参加し、市やコミュニティレベルでの火山観測情報や国の防災機関の発出するアラートレベルを基に、関係者がどのような行動をとるか検討を重ねてきました。ワークショップの中で、市の防災担当者からは、「災害の危険が迫るときに何をすべきかが明示されており、非常に有効である」との意見が述べられました。また、国の防災機関にある火山専門対応ユニットの職員からは、「避難訓練を実施する際のシナリオとして、あるいは新人に対する研修教材としても活用できる」との意見もありました。
一方、国の防災機関本部にて作成されたタイムライン(案)を確認したところ、市の行動は概ね良いものの、その他の防災関係機関の行動が必ずしも適切に表わされていないことが判明し、火山専門対応ユニットが中心となって見直しを図るよう防災機関の長官から指示が出されました。
上記指示に基づき、2月12日に本件を担当する国の防災機関の災害対応本部及び火山専門対応ユニットの職員11名が参加して、その他の防災関係機関の行動について見直しを行うワークショップを開催しました。ワークショップでは、日頃共に働く同じ防災機関の職員同士の間でも見解が異なる部分が明らかになるなど、取るべき行動について考える良い機会となりました。」(引用終り)

今回作成されたタイムラインは、グアテマラで初めて作成されたモデルとして、今後の現場での使用を通した改訂を想定し、バージョン1と位置付けています。
プロジェクトは、2020年6月のプロジェクト終了までに、今回完成したタイムラインの普及や効果的な適用等を支援していきます。

作成:伊良部 秀輔(長期専門家)

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プロジェクトマネージャーから趣旨説明が行われた

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プロジェクトマネージャーからの修正指示の様子

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意見を述べる火山専門対応ユニットからの参加者

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一つひとつアクションを確認した

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職員間で見解が異なる場面もあった

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アラートレベル毎に順次進行した