パイロット市の小学校にてカエルキャラバンが実施されました

2020年3月13日

2020年3月4日、5日、プロジェクトのパイロット市であるサンフアンデルスール(San Juan Del Sur)市において、また同レオン(Leon)市においては12日、13日に、市内の小学校にてカエルキャラバンが実施され、計300名の児童が参加しました。

カエルキャラバンとは、子供が遊びながら防災の知見を学ぶ手法で、BOSAIフェーズI(2007年から2012年実施)によって中米地域に導入され、現在多くの国で実践されています。ニカラグアでは、これに独自のプログラムを加えながらニカラグア版マニュアルを作成し、国内でのより一層の普及を図ることにしました。

両市とも、初日は子供たちに防災の知見を教えるボランティア(教員・市職員など)への研修を実施しました。ニカラグア版カエルキャラバンは13ものプログラムがあるため、集まったボランティアを13のグループに分け、グループごとに担当するプログラムの実施方法を説明しました。しかしながら他のグループのプログラムも気になるようで、多くのボランティアが積極的に他のグループの説明にも参加しています。これも「遊びながら学ぶ」(ボランティア視点では子供たちに「遊ばせながら教えられる」)カエルキャラバンの特徴の一つです。また、いくら備えを進めていても、災害時には物資が不足するものですが、身近にあるもので災害対応を行うことができる知見を学べることが参加者の興味を引いたようで、3時間の研修はあっという間に過ぎていきました。

さて、2日目はいよいよ子供を対象にした実践です。初めての実践ということで戸惑う部分もあったようですが、教えることのスペシャリストである教員がボランティアに多くいたこともあり、子供たちも興味を持って防災の知見を学べたようです。また、ボランティアからは「子供たちも災害や防災についての知識はゼロではなく、彼らからもたくさんの意見や情報が出てきた」という話があり、ニカラグア教育省を中心に、学校安全プログラムの取り組みとして避難訓練や防災を含めた安全教育が、各学校レベルで着実に実行されていることを確認する場にもなりました。このことから、ニカラグアでカエルキャラバンが全国的に普及することも十分に可能なのではないでしょうか。

カエルキャラバンの実践もあっという間に終了しました。今回は日本の対象年齢に倣って、3年生から6年生までを中心に各学校で150名の児童を対象に実施しましたが、参加者は学んだことを嬉しそうに話してくれました。また、中学生などからは「私たちも参加したかった」との声を聞くことができました。

遊んで学ぶカエルキャラバンのニーズはとても大きいようで、今後はこの手法をどのように普及していくかがニカラグアの課題となります。プロジェクトでは今回の経験を基にマニュアル案の最終化を進めるとともに、現場で調達が難しいものや防災知見を説明するために必要な資料を、カエルキャラバン支援ツールとして整備したうえで、ニカラグア国家災害管理・防災システム局(CD-SINAPRED)や教育省に配布する予定でいます。
プロジェクト期間も残りわずかですが、BOSAI フェーズ2ではプロジェクトの終了まで、カエルキャラバンをはじめとしたプロジェクト成果を全国に普及するための支援を続けていきます。

作成:川東 英治(長期専門家)

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ボランティアへの研修の様子

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折り紙によるコップ作りを学ぶボランティア

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シーツを使用した担架でカエル(けが人)を運ぶ子供たち

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折り紙のコップを作成した子供たち