プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)地域保健看護師のための「現場ニーズに基づく現任研修」強化プロジェクト
(英)Project for Strengthening the Need-Based In-Service Training for Community Health Nurses

対象国名

フィジー、トンガ、バヌアツ

署名日(実施合意)

フィジー:2010年5月13日

トンガ:2010年6月8日

バヌアツ:2010年5月10日

プロジェクトサイト

フィジー全国、トンガ全国(パイロット地域:トンガタプ州、ババウ州)、バヌアツ全国(パイロット地域:シェファ州)

協力期間

フィジー:2010年10月20日から2013年10月19日

トンガ:2011年1月24日から2014年1月23日

バヌアツ:2011年5月22日から2014年5月21日

相手国機関名

フィジー

(和)フィジー国保健省、地方保健局看護課

(英)Division of Nursing Services, Ministry of Health, the Republic of Fiji Islands

トンガ

(和)トンガ国保健省看護部(地域看護部、臨床看護部、公立クイーンサロテ看護学校)

(英)Republic Health Nursing, Hospital Nursing, and School of Nursing, Nursing Services, Ministry of Health, the Kingdom of Tonga

バヌアツ

(和)バヌアツ国保健省人材育成研修ユニット、バヌアツ看護学校、バヌアツ看護協会、シェファ州保健局

(英)Human Resource Development and Training Unit, Ministry of health, Vanuatu College and Nurse Education, Vanuatu Nursing Council, and Shefa Provincial Health Office

背景

WHO(World Health Organization) によると、全世界で400万人の保健人材が不足しており、人材育成はMDGs(Millennium Development Goals) 達成にあたって喫緊の課題となっています。近年大洋州でも保健人材の海外移住の増加や現任人材の老齢化により、保健現場で活動する人数の不足や労働力の低下が起こっている事が、保健サービスの質的低下の一因とされています。

特に大洋州地域では、看護師、助産師、看護補助などの看護職が地域保健サービス現場の中核を成しますが、これまで医師や専門技術者に多く見られた海外移住は、中堅層の看護師においても増加し、その結果、保健現場では中堅層の看護師の減少が見られています。その要因として、看護学校卒後3〜5年以上の経験者に対する需要が高まり、それによる過重労働、また政治不安や低賃金労働への不満が後押していると考えられます。更に、適正な人材雇用と人材育成計画が実施されてこなかった結果、国内での保健人材配置の地域不均衡や定年看護指導者の後継者不在等が起こり、地域保健サービス供給に影響を与えています。一方で、海外移住については個人の選択の自由と社会経済的要因を含み、移住抑制策などを強行して解決できる問題ではないため、各国保健省は自国の政策で可能な限りの労働者保護策やインセンティブ案の導入などの対応を行っています。

こうした状況に対し、JICAはフィジーにおいて「地域看護師現任教育プロジェクト」(2004〜2008年)を実施しました。同プロジェクトでは、フィジーの中部地方において、地域保健看護師のための「現場ニーズに基づいた現任研修」のモデルを開発し、パイロット地域において一定の成果を上げました。しかしながら、モデルの全国的・地域的な普及に必要なエビデンスの確立、国家政策への組み込みがなされておらず、それを発展させるべく、大洋州3ヶ国(フィジー・トンガ・バヌアツ)から要請があり、JICAは「大洋州地域地域保健看護師のための『現場ニーズに基づく現任研修』強化プロジェクト」(以下、本プロジェクト)を実施することとしました。

上位目標

フィジー

フィジーにおける保健サービスの質が向上する。

トンガ

トンガにおける保健サービスの質が向上する。

バヌアツ

ニーズに基づいて現任研修システムが策定、試行され、全国に拡大される。

プロジェクト目標

フィジー

「現場ニーズに基づく現任研修」の仕組みが強化される。

トンガ

「現場ニーズに基づく現任研修」の仕組みが強化される。

バヌアツ

パイロット地域において、地域保健看護師に対する現場事情に即したスーパービジョンとコーチング(S&C)のモデルが実施される。

成果

フィジー

  1. 「現場ニーズに基づく現任研修」が政策として有効になる
  2. 「現場ニーズに基づく現任研修」のための国家標準化されたM&Eシステムが実施される
  3. 看護中間管理職の研修コースが確立する
  4. 地域看護師に対する全てのタイプの現任研修(他協力機関により実施されるテーマ・対象者別の研修等を含む)の効果的実施に向け、各地方保健局において、研修計画・実施に係る調整が行われる
  5. フィジー、トンガ、バヌアツ間 (もしくは三カ国を超えて)、プロジェクトの進捗および成果が共有される

トンガ

  1. 「現場ニーズに基づく現任研修」の円滑な実施のために必要な各種ガイドラインが整備され、使用される
  2. 「現場ニーズに基づく現任研修」実施のために全体の現任研修計画と資金がよりよく調整される
  3. 看護師指導者がS&C及びニーズに基づく現任研修の技術を身につける
  4. 根拠に基づくキャリア向上支援や後継者育成計画に結びつく国家標準化した「現場ニーズに基づく現任研修」のモニタリング評価(M&E)システムが運用される
  5. トンガ、フィジー、バヌアツ間(もしくは三カ国を超えて)、プロジェクトの進捗および成果が共有される

バヌアツ

  1. S&Cの試行のフレームワークが策定され、使用される
  2. 全州のゾーン看護指導者がS&Cの技術を身につける
  3. パイロット州において、ゾーン看護指導者によってS&Cが定期的に行われる
  4. バヌアツ、フィジー、トンガ間(もしくは三カ国を超えて)、プロジェクトの進捗および成果が共有される

活動

フィジー

1-1.
「現場ニーズに基づく現任研修」のインパクト調査をデザイン・モニタリングするためのワーキング・グループを結成する。
1-2.
中部及び東部地方の「現場ニーズに基づく現任研修」のインパクト調査を実施し、結果を発表する。
1-3.
現場ニーズに基づく現任研修のための政策をインパクト調査の分析結果に基づきデザイン、提案する。
1-4.
「現場ニーズに基づく現任研修」政策実施のため、地方保健局関係者に対し研修を実施する。
2-1.
「現場ニーズに基づく現任研修」のM&Eガイドラインおよびツールをデザイン・準備する。
2-2.
M&E実施に向け、地方/地区看護師長に対する研修を実施する。
2-3.
地区保健局定例会や看護指導者年次会合において、M&Eの効果について検証する。
3-1.
看護中間管理職の養成のためのワーキング・グループを結成する。
3-2.
現場ニーズに基づく現任研修の観点から看護中間管理職の養成のための研修カリキュラムを見直し、再策定する。
3-3.
看護中間管理職およびその候補者の研修を実施する。
4-1.
地方保健局における研修調整委員会の役割・責任範囲を再定義する。
4-2.
地方保健局における研修調整委員会の研修調整のための定例会が実施される。
5-1.
3カ国のプロジェクトチームによる電話、テレビ会議を実施する。
5-2.
トンガ、バヌアツのカウンターパートを対象としたフィジーにおける第三国研修を実施する。
5-3.
フィジーのカウンターパートを第三国専門家としてトンガやバヌアツに派遣する。
5-4.
プロジェクトの進捗や成果を国際会議の場で発表する。

トンガ

1-1.
「現場ニーズに基づく現任研修」の実施、インパクト計測のためのベースライン、エンドライン調査を実施する。
1-2.
地域保健看護師、病院看護師の職務内容を見直し、能力基準(CS)のドラフトを作成する。
1-3.
地域保健看護師、病院看護師のCSを完成させ、提案する。
1-4.
「現場ニーズに基づく現任研修」の実施ガイドライン、マニュアル、報告書式を、策定する。
1-5.
CS、実施ガイドライン、マニュアル、報告書式に基づいて地域保健看護師、病院看護師を研修する。
2-1.
保健省のどのレベルにIST調整官を任命するか決定する。
2-2.
IST調整官の候補者を確定し、その中から最も適切な者をIST調整官として任命する。
2-3.
保健省内において「現場ニーズに基づく現任研修」の重要性に関する啓蒙を行う。
2-4.
研修開発委員会(TDC/Training & Development Committee)の役割を見直し、「現場ニーズに基づく現任研修」と他の現任研修との調整を図るため、TDCの追加的な役割を提案する。
2-5.
現場ニーズに基づく現任研修の自立発展性のためにTDCと協働する。
3-1.
看護指導者の候補者を確定し、その中から最も適切な者を看護指導者として任命する。
3-2.
S&C(例. カリキュラム、教材、証明書等)の研修プログラムを策定する。
3-3.
看護指導者に対してS&Cに関する研修を実践する。
3-4.
パイロット地域において、看護指導者が地域保健看護師に対してS&C及び現場ニーズに基づく現任研修を行うことを支援する。
4-1.
「現場ニーズに基づく現任研修」モニタリング評価ガイドライン、ツールを策定する。
4-2.
看護指導者、保健省関係者に対してM&Eに関する研修を実施する。
4-3.
定期的離島訪問、年次の地域保健看護師に対するレビュー及び計画ワークショップ通してS&C実績の査定をする。
5-1.
3カ国のプロジェクトチームによる電話、テレビ会議を実施する。
5-2.
フィジーにおける第三国研修に参加する。
5-3.
国際会議の場でプロジェクトの進捗、成果を発表する。

バヌアツ

1-1.
中央、州のカウンターパートがフィジーにおける第三国研修を通じて、S&Cのアクションプランを策定する。
1-2.
S&C試行のためのゾーン看護指導者の役割、責任、求められる能力、資格が規定され、文書化される。
1-3.
地域保健看護師のためのCSのドラフトが策定される。
1-4.
S&Cの実施ガイドライン、モニタリングツールのドラフトが策定される。
2-1.
ゾーン看護指導者への研修プログラム(カリキュラム、モジュール、証明書)、及び、計画を策定する。
2-2.
全州のゾーン看護指導者に対してS&C実施に関する研修を実施する。
2-3.
州保健マネージャー(Provincial Health Manager)への研修プログラムカリキュラム、モジュール、証明書)、及び、計画を策定する。
2-4.
州保健マネージャーに対してS&Cモニタリングに関する研修を実施する。
3-1.
ゾーン看護指導者の担当ゾーンにおけるS&Cの実施のための年間計画(経費、ロジ計画等)の策定を支援する。
3-2.
保健省がパイロット州におけるS&C実施のための予算を確保できるよう支援する。
3-3.
ゾーン看護指導者に対し、地域保健看護師へのS&Cに関するアドバイスをする。
3-4.
パイロット州におけるゾーン看護指導者へのS&Cのモニタリングを行う。
4-1.
3カ国のプロジェクトチームによる電話、テレビ会議を実施する。
4-2.
フィジーにおける第三国研修に参加する。
4-3.
プロジェクトの進捗や成果を国際会議の場で発表する。

投入

日本側投入

  • 専門家派遣:プロジェクト運営/保健政策、業務調整/看護、インパクト調査、M&Eシステム、看護管理行政、S&C
  • 第三国研修:トンガ、バヌアツの研修員がフィジーにおいて研修を受講
  • 第三国専門家:フィジーのCPをトンガ、バヌアツに対し派遣
  • 機材供与:研修用機材、教材開発にかかる資機材の供与
  • 活動経費:第三国研修及び国内研修の実施経費

相手国側投入

  • プロジェクト・調整委員会(各国のプロジェクト実行責任者及び関連機関代表)
  • プロジェクトカウンターパート
  • プロジェクト執務室及びローカルコスト/執務室維持経費、研修経費、研修モニタリング・評価経費