「生活習慣病予防のための保健指導」に関する伝達講習の開催(キリバス)

2018年2月27日

2018年2月21日~23日、キリバスの首都・南タラワ市内で、保健医療サービス省内の生活習慣病(NCD)対策委員会並びに南タラワ市内の保健施設長29名を対象に、「生活習慣病予防のための保健指導」に関する管理者研修を開催しました。

フィジーでの研修に参加したキリバス保健医療サービス省の職員4名が中心となり、今回の研修準備は進められました。フィジーで得た学びを土台に、研修の構成は、キリバスの課題やニーズに応じて見直し、<動機づけ面接(Motivational Interviewing)>というカウンセリング手法に絞って行いました。

2016年の調査(WHO STEP Survey)によると、キリバスでは10人に8人が過体重・肥満である等、野菜不足や、糖分・脂質の取りすぎ、運動不足など、不健康な生活の積み重ねに起因する生活習慣病(糖尿病や高血圧症)への対応が喫緊の課題です。

人が行動を変えたくなる「動機」とはどこにあるのか。

動機付け面接は、「動機」はその本人の中に必ず存在する、という考え方で、医療者が教えて与えていくというよりも、井戸から水を汲み上げるように、本人にあるものを引き出していく支援をします。そのための”魔法”の言葉はなく、医療従事者が、根拠に基づいて、患者の発言の中に”動機につながる言葉”を聴き取る力を養い、会話からそれを引き出し、強めることが必要です。今回の研修では、生活習慣病予防のケースを用いて、この動機づけ面接の演習を繰り返しました。

研修を中心となって進めたテニブアカ・タブンガ公衆衛生局長補は、フィジーでの視察を振り返り、「患者の行動変化を求める前に、医療者側の姿勢やコミュニケーションから見直す必要があることを再認識できた。今回の(キリバスでの)研修ではそこを一番にスタッフと共有したいと考えた。」と、研修の主旨を語っています。研修に参加したテマキン・クリニックの施設長は「保健指導のみならず、日常的な患者とのコミュニケーションから見直す機会になった。施設に戻ったらスタッフにも業務を通じて伝えていきたい。」と力強く答えてくれました。 研修を担当したNCD委員会のメンバーは、今後は、参加者の施設を訪問し、現場でのコーチング等を通じてフォローをする予定です。

本事業では、今後も、フィジーとキリバス各国の課題やニーズに応じた個別性のある事業を目指しながら、同時に、生活習慣病予防の推進という共通の課題に取り組む大洋州諸国が、相互の連携や協力を深められるネットワークづくりにも貢献にしていきたいと考えています。

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研修に参加する目的(本音と建前の両方)を書いて紙飛行機にして飛ばす参加者

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ステージ変容理論を、生活習慣病の要因(タバコ、アルコール、栄養、運動)などの具体例で説明する参加者

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動機づけ面接の“開かれた質問(Open-ended Questions)”の演習を行う参加者