プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)生活習慣病対策プロジェクト
(英)Project for Prevention and Control of Non-communicable Diseases

対象国名

大洋州(フィジー、キリバス)

署名日(実施合意)

フィジー:2015年3月31日
キリバス:2015年3月10日

プロジェクトサイト

フィジー:中部地域
キリバス:南タラワ地域

協力期間

フィジー:2015年5月11日から2020年5月10日
キリバス:2016年6月20日から2019年6月19日

相手国機関名

フィジー:保健医療サービス省・ウェルネスセンター
キリバス:保健医療サービス省

背景

大洋州では近年の生活習慣の変化により、感染症疾患から心筋梗塞や糖尿病など生活習慣病(NCDs)への疾病構造の転換が急速に進み、2012年には、NCDsの四大疾患(心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、悪性腫瘍)が同地域の死因の78%を占めている。

フィジーでは、大洋州の他の国同様、糖尿病や心血管疾患などNCDに起因する障害や死亡は増加傾向にあり、感染性疾患から生活習慣病(NCD)への疾病構造転換が急速に進んでいる。2012年に発生した死亡の70%以上がNCDによるものと推計されており、心血管疾患と内分泌・栄養・代謝性疾患および悪性腫瘍が死因の上位を占めている。近年、世界保健機関(WHO)や豪州等の開発バートナーの支援を受けながら、同国におけるNCD対策は推し進められてきたものの、日常的な運動や野菜や果物の摂取の不足、アルコールの過剰摂取といったNCDにおける行動危険因子、肥満や高血圧といった生化学的危険因子を保有する人口の割合は依然として増加傾向にある。

加えて2002年の保健医療サービス省の調査では、糖尿病や高血圧の高度リスク群のうち、診断・治療を受けて血糖値や血圧値のコントロールが良好な症例は僅か1割程度に留まるとの報告もあり、保健医療サービス省を中心にNCD予防対策に従事する保健・医療従事者の間では、根拠に基づいたNCD予防対策を特定する必要性が改めて認識されると同時に、生活習慣や環境の改善とNCDの早期診断・治療の体制の強化が喫緊の課題となっている。

本プロジェクトでは、根拠に基づいたNCD対策の特定、業務運営能力とモニタリング評価体制の強化、成果普及のための体制構築を図り、もってNCD対策の強化を図ることを目的に実施されるものである。

一方、キリバスでは、糖尿病や心血管疾患などNCDに起因する障害や死亡は増加傾向にあり、感染性疾患から生活習慣病(NCD)への疾病構造転換が急速に進んでいる。25歳から64歳までの調査対象者の大部分(74.6%)が3から5つの行動危険因子を同時に持つ高度リスク群に分類され、中でも喫煙者は全人口の6割に上るとの結果が出ている。生化学的要因においても、過体重は人口の81.5%、肥満は50.6%、糖尿病は28.1%、高血圧は17.3%、脂質異常症は27.7%といずれも高値を示し、近年悪化傾向である。キリバスでは、こうしたNCDの課題と並行して、従来の課題である子どもの低栄養、結核、コミュニティの衛生環境等に対しても限られた保健人材や財源等のリソースで対応していかなければならず、コミュニティ全体を巻き込んだNCD対策と幅広い健康課題を取り組む保健人材の能力の強化が強く求められている。

本プロジェクトでは、コミュニティに根差したNCD対策アブローチの確立、モニタリング評価のデータ分析能力の強化により、公衆衛生向上に向けたコミュニティ主体のアプローチ・NCD対策の強化を図ることを目的に実施されるものである。

目標

フィジー

上位目標

フィジーのNCD対策が強化される

プロジェクト目標

保健医療サービス省と中部地方において、根拠に基づいたNCD対策が強化される

キリバス

上位目標

南タラワにおけるNCDリスク因子を持つ住民の数が増加しない。

プロジェクト目標

質の高いNCD対策が実施される割合が対象地域で増加する

成果

フィジー

1. 根拠に基づいたNCD予防対策のための介入が特定される
2. NCD予防対策に関連した実施運営能力が強化される
3. 地方・地区レベルにおいてNCD予防対策のモニタリング・評価体制が強化される
4. プロジェクトの成果を普及するための体制が構築される

キリバス

1. NCD対策のサービスカバレッジが改善するため保健省での調整・協調・連携機能が対象地域で強化される。
2. 効果的なNCD対策のアウトリーチサービスが対象地域で展開される。
3. NCD対策のアウトリーチ保健サービスのモニタリング・評価(M&E)枠組みと計画が展開される。

活動

フィジー

1-1. 中部地方における住民の知識や生活様式、医療従事者の知識や技能などNCD予防対策に関するベースライン調査を実施する。
1-2. ベースライン調査の結果に基づきNCD予防対策の改善策(健康教育、健診、地域住民への能力強化など)を策定する。
1-3. 上記1-2で策定された改善策を試験的に運用するためのマニュアルやその他ツールを作成する。
1-4. 改善策に係る研修を医療従事者に対して実施する。
1-5. パイロットサイトで改善策の実証調査を実施する。
1-6. パイロットサイトで行われた実証調査の効果などを分析する。
1-7. 中部地方全域に展開するために必要な財源の試算とともに計画を策定する。

2-1. 中部地方におけるマルチセクトラルなNCD予防対策が強化される。
2-1-1. 中部地方保健事務所によるイニシアチブでNCD予防対策に係るマルチセクトラルな活動を強化する。
2-1-2. 中部地方と地区保健事務所の協力体制が強化され、コミュニケーションが円滑に行われる。
2-2. ベースライン調査の結果をもとに、中部地方・地区保健事務所や1次医療施設の能力強化ならびに業務改善(計画立案、労働環境や労務管理など)のための介入策を導入する。
2-2-1. ベースライン調査の結果をもとに業務改善のための能力強化に関する介入策が特定される。
2-2-2. 必要に応じて教材を作成する。
2-2-3. 改善策を導入するために地区保健事務所や1次医療施設における対象の医療従事者に対して、研修を実施する。
2-2-4. 中部地方保健事務所の支援により活動2-1-1.で特定された介入策を実施する。
2-3. 中部地方全域の地方保健局や1次医療施設において証拠に基づいたNCD予防対策を導入する。
2-3-1. 成果1で特定された改善策を導入するために、中部地方全域の地域保健事務所に対して研修を実施する。
2-3-2. 必要に応じて教材を作成する。
2-3-3. 改善策を導入するために地区保健事務所や1次医療施設における対象の医療従事者に対して、研修を実施する。
2-3-4. 中部地方保健事務所の支援により活動2-1-1.で特定された介入策を実施する。

3-1. NCD予防対策に係ることも含む既存のモニタリング評価の枠組みをレビューする
3-2. 既存のM&E枠組みを活かし、NCD予防対策に関わるモニタリング評価の枠組みを策定する。
3-3. 地方・地区保健事務所で使用するモニタリング評価のツールを準備する。
3-4. 上述の枠組みをもとに地方・地区保健事務所によるモニタリング評価の活動を支援する。
3-5. 上述の枠組みの検証をもとにモニタリング評価に関わるガイドラインを策定する。

4-1. エンドライン調査の実施を通して、成果、所見、根拠などを収集する。
4-2. プロジェクトで得られた成果や根拠などを政策や戦略に反映させる。
4-3. プロジェクトで得られた成果や根拠を展開するために、財源の分析や展開計画などに関する文書で記録を残す。
4-4. ワークショップや国際会議などを通じて、フィジー、キリバスや他国で働く保健関連スタッフにプロジェクトの成果や根拠を共有する

キリバス

1-1. 効果的な連携のためのNCD委員会の機能の見直しを行い明らかにする
1-2. NCD委員会の選択された機能を支援する
1-2-1. 国家戦略計画2016-2019に沿ったNCD年間計画をレビューし策定する
1-2-2. NCD対策の国内関係機関の会議開催を支援する
1-2-3. NCD対策の経験の共有を目的として、好事例地域へのスタディーツアーを実施する
1-2-4. NCD対策関連の情報を関係者に発信する
1-3. プロジェクト活動の学びを関連したNCD戦略計画にフィードバックするためにNCD委員会を支援する

2-1. HOPEのレビュー、並びに各クリニックのナース・センサス、パブリックヘルス・ナース及びナース・エイドの活動状況をレビューする
2-2. レビュー結果をもとに、対象地域を選定する。
2-3. アウトリーチサービス(地区診断、NCDスクリーニング、アドボカシー、フォローアップ)の計画を立案する。
2-4. 対象地域においてNCD対策におけるVWG(Village Welfare Groups)の機能をレビューし強化する
2-5. 開発パートナーと協働し、関係者への研修を実施する
2-6. クリニックスタッフとVWGsによるアウトリーチ保健サービスの実施を支援する
2-7. NCDディやヘルシーファミリーコンセプトディなどのイベントでヘルス・プロモーション・イベントを支援する
2-8. 強化されたNCD対策へのアウトリーチサービスの結果が関係者と共有される

3-1. NCDアウトリーチサービスのための指標、ツール、データ収集方法や手順、情報の分析を含めたM&E枠組みを策定する
3-2. M&E枠組みのテストを対象地域で実施する
3-3. M&Eを通じて得たデータを分析する
3-4. レビューに基づきM&E枠組みを改訂する(DPNOのクリニックのスーパー・ビジョンのチェックリストも含む)
3-5. 改訂されたM&Eを全てのレベルの各関係者と共有する

投入

フィジー

日本側投入

専門家派遣(チーフアドバイザー、コミュニティヘルス/生活習慣病対策、業務調整/ヘルスプロモーション、疫学、看護人材育成など)、プロジェクト運営費用、必要資機材の供与、カウンターパートの本邦研修または第三国研修費

相手国側投入

カウンターパート(プロジェクトディレクター(保健次官)、プロジェクトマネージャー(公衆衛生次官補)、プロジェクト実施に必要な執務室および施設設備の提供、その他カウンターパート人件費、旅費交通費・消耗品、水道料金・電気料金・通信費などの光熱費など、プロジェクト活動実施に必要な運営経費の一部

キリバス

日本側投入

専門家派遣(チーフアドバイザー、コミュニティヘルス/生活習慣病対策、業務調整/ヘルスプロモーション)、プロジェクト運営費用:研修、ステークホルダー会議開催費、選定された実証サイトでの活動費、必要資機材の供与、カウンターパートの本邦研修または第三国研修費

相手国側投入

カウンターパートの配置(プロジェクトディレクター(保健次官)、プロジェクトマネージャー(公衆衛生課長))、プロジェクト実施に必要な執務室および施設設備の提供、その他カウンターパート人件費、旅費交通費・消耗品、水道料金・電気料金・通信費などの光熱費など、プロジェクト活動実施に必要な運営経費の一部