プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)看護サービス人材育成プロジェクト
(英)The Project for Capacity Building of Nursing Services

対象国名

バングラデシュ

署名日(実施合意)

2015年6月30日

協力期間

2016年1月5日から2021年1月4日(5年間)

相手国機関名

責任機関:保健家族福祉省
実施機関:看護サービス局、保健サービス総局、看護審議会、ダッカ看護大学、ダッカ医科大学及び医科大学病院

背景

バングラデシュ人民共和国(以下「バングラデシュ」)は、南アジアと東南アジアを結ぶ位置にあり、日本の約4割の国土(14万7千平方キロメートル)に人口約1億5,000万人が住む世界で最も人口密度の高い国です。近年バングラデシュは、年率5〜6%程度の経済成長を遂げており、潜在的な生産拠点と新たな市場として日本企業の進出も拡大しつつあります。
保健セクターにおいては、バングラデシュ政府は開発パートナーと共同で包括的な保健プログラムである保健人口栄養セクター開発プログラム(HPNSDP 2011-2016)を定め、特に母子保健分野での取り組みを強化してきました。この結果、母子保健関連指標は順調に改善しており、妊産婦死亡率(出生十万対)は、2000年の340から2013年には170へと50%減少しています(WHO、2014年)。
一方で、依然として公的医療サービスの質の低さ、保健医療人材不足と不均等な配置など多くの課題が残されているのが現状です。特に保健システムの根幹を成す保健医療人材に関しては、長期的な人材育成戦略が十分に実行に移されておらず、大きな課題となっております。WHOの保健医療人材配置基準である人口1万人23名に対し、バングラデシュでは登録医師数が6万5,000人、登録看護師数が3万人で合計9万5,000名となっており、1万人に対する数は6名と基準の4分の1のレベルに留まっています。
なかでも公的医療機関における看護師に関しては、ハシナ首相が2009年に看護職増員を公約し、実際に2013年9月には約4千人の看護師が新規雇用されたほか、2014年8月には1万人の看護師を公的病院に雇用することが宣言される等、バングラデシュ政府としての取り組みも強化しているものの、まだ充足されていないのが現状です。
また、看護師の量の拡充に並行し、バングラデシュ政府は、看護師の質の向上を目指し、2008年に看護教育制度の改正を行いました。特に従来4年制であった看護ディプロマ課程を3年制看護ディプロマ課程に変更し、大学教育として看護学士課程制度(4年制)を導入しています。
学術的に高度な4年制看護学士課程の卒業生は2012年に輩出されたばかりであり、学士課程教育における教育の水準の向上、看護実践を学ぶ実習現場において学生のロールモデルとなる看護師の能力向上が必要となっています。こうした現状を踏まえ、バングラデシュ政府は看護サービス人材育成に取り組む技術協力プロジェクトの実施を我が国に要請しました。
この要請を受け、本プロジェクトでは看護行政、看護教育、看護臨地実習の三方向からアプローチし、看護学士課程に関する行政機能の強化、対象大学における看護学士課程の教育環境の改善、看護臨地実習の環境の改善を目指していきます。

目標

上位目標

看護学士課程卒業生が勤務地の看護の質を向上させる

指標

看護学士課程卒業生が看護師として業務に携わる人数
看護サービス利用者による看護サービスへの評価が向上
(教員の指導力の向上、学生の看護師コンピテンシー充足度)

プロジェクト目標

看護学士課程の教育の質が向上する

指標

対象看護大学での卒業率が向上する
教育に対する学生の満足度が向上する

成果と活動

成果1

看護学士課程に関する行政機能が強化される

活動

1-1.現在の看護行政機能を明確化するため情報収集・分析を行う
1-2.看護師の役割、将来像および学士看護師の役割を明らかにする
1-3.看護教育の質をモニタリングするシステムを構築する
1-4.看護の専門性を啓発する

成果2

対象大学における看護学士課程の教育環境が改善する

活動

2-1.教員開発(Faculty Development)に関する講義・演習・臨地実習の現状を明確にする
2-2.教員開発の課題に対する改善策を検討する
2-3.改善策に基づいた教員開発を実施する
2-4.臨地実習体制を構築する

成果3

看護臨地実習の環境が改善する

活動

3-1.臨地実習病院における看護部の現状についてのアセスメントを行う
3-2.看護部の理念・目標を明確化する
3-3.臨地実習環境の改善に向けた看護部の方針を確認する
3-4.策定した方針の実現のための活動計画を立案する
3-5.臨地実習病棟において策定した活動計画に基づく活動を行う