プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)過積載車両管理・規制能力強化プロジェクト
(英)The Project for Capacity Development of Managing and Controlling Overloaded Vehicles

対象国名

バングラデシュ

署名日(実施合意)

2020年3月2日

プロジェクトサイト

バングラデシュ主要幹線道路

協力期間

2020年8月1日から2024年7月31日

相手国機関名

実施機関

道路交通橋梁省 道路・国道部
(Roads and Highways Department of the Ministry of Road Transport and Bridges:RHD)

関係機関

道路交通橋梁省 道路局(Road Transport and Highways Division:RTHD)
交通警察(Highway Police)
道路交通機構(Bangladesh Road Transport Authority:BRTA)
陸港機構(Bangladesh Land Port Authority:BLPA)

背景

バングラデシュでは政府予算や援助機関により急速に道路網整備が進められているものの、国境に繋がる主要幹線は、既存の道路・橋梁の劣化等により、国際回廊として十分機能しておらず、地域内の旅客・貨物輸送の障害となっている。劣化の要因の一つとしては、経済発展に伴う交通量及び物流量の増加を受けた、過積載車両による道路・橋梁インフラの損傷が挙げられる。同国では過積載車両の横転や荷物の逸脱落下等の重大事故が発生しており、過積載車両への対応を含む、適切な道路の保全・維持管理が喫緊の課題となっている。
同国政府の「第7次5か年計画」(2016、2017~2020、2021年度)の中で、道路維持管理コストの抑制及び安全な道路利用のために、厳格な過積載対策の必要性が強調されており、現在、同国政府は全国4か所に軸重計を設置して、民間事業者への委託により過積載車両への罰金徴収を実施している。また、将来的に全国21か所での軸重計設置を計画している。
本プロジェクトは、主要幹線における過積載対策を強化し道路・橋梁の損傷を軽減することで、当国の主要幹線道路における円滑かつ信頼度の高い交通・物流ネットワークの構築を図り、周辺国との貿易の促進に寄与することを目指すものである。

目標

上位目標

主要幹線道路での過積車両の通行が減少する。

プロジェクト目標

バングラデシュ政府関係機関の過積載対策にかかる体制・枠組みが整備される。

成果

1.軸重計測所の委託業務に関するRHDの監理能力が向上する。
2.過積載対策のための情報収集・分析能力が向上する。
3.過積載車両に対する取締制度が強化される。
4.パイロットサイトにおいて過積載車両の取締り活動が強化される。

活動

1-1.軸重計測所における委託業者の業務内容及びRHDの監理業務の現状を調査の上、軸重計の運営・維持管理に関する課題を把握する。
1-2.RHDの関係職員を対象にニーズアセスメントを実施し、委託業者への管理業務につき強化すべき能力を特定する。
1-3.軸重計測所の委託業者に対するRHDの業務管理体制を明確に定義・決定する。
1-4.成果1の活動を実施する軸重計測所を(1ヶ所あるいは2ヶ所)選定する。
1-5.RHD職員向けに、軸重計測所の委託業者についての委託業務監理マニュアルや委託業務にかかる標準仕様書を策定する。
1-6.選定した軸重計測所において、委託業者のパフォーマンス評価も含めた業務管理に関するトレーナー研修(Training of Trainers: TOT)をRHD職員(施設運営・維持管理課(Mechanical Wing)と地方事務所管理課(Zonal Operations Wing)のSupervisors)に対して実施する。
1-7.(RHDのトレーナーが)他の軸重計測所において、パフォーマンス評価も含めた委託先の業務管理に関する研修を実施する。
1-8.作成された軸重計測所の委託業務監理マニュアルおよび標準仕様書を改訂し、新設される21ヶ所の計測所にかかる委託業務の発注計画を策定する。
1-9.21ヶ所の計測所に対して、委託業務監理に関する研修計画を策定する。

2-1.軸重や過積重量に関する規制値を確認する。
2-2.新規データベースシステムに必要な項目とデータ収集方法を検討する。
2-3.過積載に関するデータベースシステムを構築する。
2-4.過積載に関するデータベースシステムの運用マニュアルを作成する。
2-5.既存の軸重計測所に開発したデータベースシステムを導入し、活動2-4で作成した運用マニュアルを用いて、軸重計測所のRHD職員にデータベース運用のTOT研修を実施する。
2-6.活動2-5の結果をベースに、必要に応じてデータベースシステムを改良する。
2-7.活動2-6で改良したデータベースシステムを他の軸重計測所に導入する。
2-8.他の軸重計測所において、作成したマニュアルを活用して、過積載に関するデータ収集の研修をRHD職員に対して実施する。
2-9.技術サービス課(Technical Services Wing)の職員を対象に、収集された過積載のデータ分析方法に関する研修を実施し、過積載の月次モニタリング報告書を作成する。
2-10.データベースシステムを活用して、過積載の現状分析報告書を作成する。

3-1.過積載車両の取り締まりに関する実施細則の整備状況と過積載車両に対する罰則内容をレビューする。
3-2.過積載車両の取締りの実態を把握する。
3-3.過積載車両の取締り実施に関する課題を整理する。
3-4.過積載車両の取締り実施に関する改善ポイントと規制改定ための提言をまとめる。
3-5.過積載取締りに関する実務ガイドライン案を作成し、成果4で実施するパイロット活動の結果に応じて改訂する。

4-1.運送会社、トラック協会、労組等を対象に過積載の違法性や課題に関する啓発・広報活動を行う。
4-2.過積載車両取締りに関するパイロット活動を計画する。(目的、活動内容、パイロットサイトの選定等)
4-3.活動4-2で策定した計画に基づいて、パイロットサイトでの過積載車両の取締りの活動を実施する。
4-4.パイロットサイトにおける過積載車両の取締り活動の課題を抽出し、改善点を検討しまとめる。
4-5.活動2-9、2-10の結果も考慮し、過積載車両の取締り活動を拡大するためのアクションプランを策定する。

投入

日本側投入

長期・短期専門家派遣、研修員受入、機材供与

相手国側投入

カウンターパートの配置、パイロットプロジェクトの実施サイト及び費用、広報・普及のための告知費用、プロジェクト実施に必要な運用経費(電気、水道、通信費、カウンターパートの人件費、現地活動費等)