農業機械普及状況についての調査を実施

2015年2月6日

ブータン王国では政府主導により農業機械化が進められています。過去に海外からの支援で受け入れた機械の数やその農家への販売台数などの記録はきちんと付けられていますが、農業機械普及の実態を示す統計データとなると、十分に集められていないのが現状です。プロジェクトのカウンターパート機関である農業機械化センター(AMC)の職員の中からは「データの重要性はわかるが、データ収集や調査の経験が少ないため、どのように集めたらよいかわからない」といった声も聞こえます。ちょうど昨年12月から2か月間、ブータン国内のゲドゥ・ビジネス研究大学の学生9名がAMCにインターンシップ・プログラムで来ることもあり、AMC内の農業機械開発センター職員が大学生と共同で行う調査を本プロジェクトが支援をしました。
ますは農業機械開発センター長とプロジェクト専門家が講義をし、それを元に調査の目的や対象などを話し合いながら調査計画を作成していきました。事前にパロ県庁の農業部から入手しておいたデータを元に、調査対象を絞り込む作業も進めていきます。今回は時間の制約上、調査対象作物を稲作に絞りました。学生たちはAMC内部の見学をしながら、稲作に使われる機械への理解も深めていきました。そして最も時間をかけたのが質問票の作成です。稲作の作業過程を確認し、その過程で使われる機械や必要コストを一つ一つ挙げていき、何度も手直しをして、テスト調査による修正を経たのち約2週間かけて完成しました。
調査は1月12日から22日まで行われ、2月6日に学生たちによる結果発表会が開かれました。調査結果によると、パロ県内のサンプル郡における稲作の耕うん作業の80%以上、田植え作業の10数%、収穫作業では約40%が機械化されていることなどが明らかになりました。
今回の成果の一つに、AMC職員達が調査結果を見ながら機械化の在り方などについて議論を始めたことです。事実に基づいて議論をしながら機械化を推進していこうとする彼らの新たな可能性を垣間見ることができました。今回は限られた時間の中での調査のため、まだAMC職員だけでこのような調査を実施するところまではいきませんでしたが、今後もプロジェクトから技術的な助言をすることで、AMC職員が自分たちで実施できるように進めていく予定です。

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調査結果発表会の様子

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AMC職員と学生達