金型製作技術研修 開催される

2015年9月29日

ブータン王国は内陸に位置する小国であり、大国インドが隣接しているせいか、国内にはあまり製造業が発達していません。これまで外国から輸入された農業機械の交換部品のほとんどを海外から輸入してきましたが、ブータン国内の農業機械の数や種類が増えたことで、十分な数の交換部品を事前に購入することができず、どうしても農繁期に部品の不足が発生していました。そのため農家が所有する機械の修理ができないばかりか、農業機械化センター(以下AMC)が農家から請け負う作業受託サービス用の機械の修理も滞ることがありました。これらを踏まえ、当プロジェクトでは、農繁期に需要が集中する消耗品のいくつかを国内生産できる体制づくりを支援しています。

一定の質の物を大量に生産するには、型を作って、同じ工程での製造作業が求められます。しかしながら、AMC職員の多くは工作機械による単純な金属加工はできるものの、金型を製作するような精密な作業の経験がほとんどありません。そこで当プロジェクトは、金型製造の技術者に短期専門家として日本から来てもらいました。専門家の北川氏は、1989年からの3年間、AMCにてJICAボランティアとして類似の活動した経験があり、20数年ぶりのAMCを懐かしく思いつつ、短期間にできるだけの成果が上がるよう、十分に準備をしての訪問です。

約2週間をかけて、AMCに設置されている工作機械のコンディション確認と整備、材料の確認と切り出し準備が済み、9月28日より研修が始まりました。研修は1週間の予定です。AMC職員の中から、工作機械の経験のある6名が選抜され、地方にある国立職業訓練学校の講師2名も参加し、8名を対象に研修が行われます。午前中は講義、午後は実習です。世界における鉄の歴史に関する講義から始まり、初日は主に鉄の性質に関する講義。午後の実習では、さっそくフライス盤を使って、長方体の工作をしていきます。さらに旋盤を使った金属加工の実習も同時並行で進んでいきます。

今回の専門家派遣は1か月間のみですが、来年2月にも再度AMCに来てもらい、次回は実際に金型を製作する研修を予定しています。日本の“モノづくり”技術が、ここブータンの地で活かされようとしています。

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北川専門家による講義

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熱処理による鉄の組織変化について説明

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実習の様子

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フライス盤の使い方を指導