精米機とコメの品質

2016年8月18日

この国の人たちの主食が日本と同じコメであることは、筆者が生活する上で、大変ありがたいことです。多くの品種のコメが栽培されていますが、ここパロ周辺では、ブータン古来の赤色のものや日本由来のもの等、いわゆる短粒種のコメが主に作られています。収穫は、人力(鎌)やこのプロジェクトニュースでも以前紹介した機械貸し出しサービスによる刈取機やコンバインによって行われていますが、できるだけほ場内で乾燥させるため、穀粒水分が20%を下回る状態、特に低い時には15%(筆者ら試験データによる)という日本国内では乾燥仕上げ水分に等しい状態での刈り取りやコンバインでの脱穀が行われています。

その後、もみから精米されたコメの状態にするためには、通常もみがらをはぎ取り(もみすり)、玄米にした後に周りの被膜を取り除く(精米)という2段階の工程が必要ですが、農家に普及しているほとんどの精米機は、もみを投入していきなり精米した状態にしてしまうという、結構手荒な機械です。機構が簡単で、比較的安価なため、普及はしていますが、収穫時の穀粒水分の低さも要因となり、砕けたコメ(砕米)の発生しやすい構造になっています。街の市場や商店に出回っているものを見ても、やはり砕米が結構混ざっています。農家で、通常と同じやり方で精米した結果、40%前後の砕米が含まれていることも明らかになりました。もっとも、割れているからといっても正常なもの(整粒)と比べても味が劣るものでもないので、あまり気にしていないのかなと思っていましたが、話を聞いていると「整粒の多い方がよく、高く売れる。」と、やはり形状品質の高さに対する志向はあるようです。

このようなことを考慮しながら、現在、精米機の試験・評価方法の作成に取り組んでいます。精米したコメの品質がわかるように、整粒が含まれている割合も評価項目の一つとして採用しています。多くの農家にこの数値を意識してもらえるよう期待を込めて。

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精米機試験風景

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整粒と砕米