コーンフレーク

2016年10月28日

ブータンの家庭に伺うと、バター茶やミルク紅茶と一緒に乾燥したスナック菓子のようなものを出してくれます。コメを水に漬けた後、フライパンで煎ったあられのようなものやモミを煎った後に圧力をかけてつぶした押し麦のようなものなどです。直接食べたり、お茶の中にいれたりして食べます。これら伝統的なお茶うけのひとつにコーンフレークがあり、主にブータン東部でトウモロコシの栽培と併せて盛んに作られています。トウモロコシを収穫後、脱粒し、圧ぺんしてコーンフレークとなるのですが、押しつぶす前には水に浸漬、半分程度の焙煎、天日乾燥、本焙煎等のいくつかの工程のうち、材料の性状を判断し、適宜この工程を選択して圧ペんする材料とします。人力で行う場合は、石で造られた臼と木製の杵で叩いてフレーク状にしていきますが、2kgの材料を処理するのに2人で10分程度かかり(筆者らの計測による)、しかもかなり息の切れる作業になります。近年では、インド製のコメの圧ぺん機を導入してトウモロコシに応用する方法が普及しています。この機械では、直径700mm程度の大きな円形篩が水平に回転し、中に入れた材料は、篩の中に取り付けられた圧ぺん用ローラと篩の内壁とのわずかな隙間に挟み込まれて、つぶれてコーンフレークとなります。篩を回転させる動力は、一般的に据付型のエンジンが使われますが、パワーティラーの動力を利用することもあります。本機は、運転するための調節する部分も少なく、大変簡素な構造であるにもかかわらず、作業能率は人力の5〜7倍(同じく、筆者らの計測結果)であり、作業の効率化や軽労化に大きく貢献しています。

現在、国内での普及状況を考慮して、この機種についてもプロジェクトの活動である試験方法と基準作りが進められています。試験材料の性状のばらつきが大きいことや出来上がり品質の判定方法など、基準の判断が容易でなく、性能の評価をどのようにしていくか、スタッフとも頭をひねっています。

蛇足ですが、この国でのコーンフレーク、日本をはじめ世界中にあるコーンフレークと見た目は何となく似ていますが、製法も異なり出来上がった製品の硬さ等、品質も異なります。「牛乳かけて朝食に」というイメージのものではありません。

【画像】

コーンフレーク

【画像】

コーンフレーク加工機

【画像】

材料の焙煎

【画像】

圧ぺん工程