民間企業からの依頼による初めての農業機械試験

2017年10月31日

今年6月21日付のプロジェクトニュースで、当プロジェクトでは農業機械の性能と安全性に関する試験制度の確立を支援しており、ようやく運用の段階に達したとお伝えしました。ブータン国で初めて承認された『耕耘機の試験方法と基準』に加え、すでに稲の刈取機(リーパー、日本で言うバインダーの結束部の無い機械)、精米機、フレーク機(コーンや米を薄片にする機械)、搾油機、ガソリン管理機の合計5種類の書類が国家標準局の技術分科会に提出されています。

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耕耘機

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刈取機

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精米機

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フレーク機

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搾油機

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ガソリン管理機

しかしながら手続きの関係上、過去に国家標準局から耕耘機の承認を得るのに1年以上かかったので、迅速に農業機械試験を進めるために、農業機械センター(農業省傘下の機関)から国会標準局技術分科会への書類提出をもって、農業省レベルとしての試験実施ができる仕組みをブータン政府が作りました。これを踏まえ、最終承認を待つ段階ではあるものの、今年の稲刈りシーズンに合わせて、稲の刈取機の試験を10月下旬にブータン中部のウォンディフォダン県の農業試験場にて行いました。今回試験を行った刈取機は中国製で、ブータンの民間企業がインドを経由してブータンに輸入したものです。

機械の試験は仕様確認から始まり、刈取作業効率試験、騒音試験、振動試験、籾損失試験と続きます。試験は一つ一つの項目を確認しながら進めるので大変時間がかかります。そのため、農家の田圃ではなく、農業試験場の田圃をお借りして試験を行いました。合計5日間かけて試験の全工程を完了しました。試験結果は良好で、全ての基準項目をパスしました。ただ、駆動チェーンの回転部に安全カバーがついていない個所があるため、試験結果報告書に安全面での勧告を記載することにしました。初めての民間からの機械試験なので、プロジェクト専門家として結果が出るまで少し心配でしたが、良好な結果が出たので正直ホッとしました。試験結果は早速正式な報告書の様式にまとめられ、試験を依頼した民間企業に提出されます。さらに依頼側が同意すれば、農業機械センターが試験結果をホームページやメディア等で公表していくことになります。

どの国の機械であっても、きちんと作業のできる機械であれば、試験結果を公表し、ユーザーの皆さんに広く機械の質について知っていただくことで、より良い機械を選択する手助けになればと考えています。プロジェクト期間の残り10か月の間に、さらに民間からの機械試験を受け入れ、ブータンの農業機械試験制度が軌道に乗るところまで支援をしていく予定です。

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試験圃場の様子

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刈取性能の試験

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刈取時の籾損失の試験

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消費燃料の確認