農業機械の展示説明会を開催

2018年5月31日

去る5月31日、農業機械センターにて農業機械の展示説明会を開催しました。ブータンではこういった展示会はフィールドデイと呼ばれていて、今回は“Farm Mechanization Technology Display & Field Day Program(農業機械化技術展示とフィールドデイ・プログラム)”と題し、パロ県の農民、県農業局関係者、および民間の農業機械販売・製造業者の総勢約50名を招いて開催しました。
今回の目的は、プロジェクトがこれまでに進めてきた農業機械研究開発の成果である試作品等を展示・実演し、新しい農業機械技術を参加者の皆さんに紹介すること、同時に試作品の製造・販売を担うことが期待される民間業者が、参加した農民達と将来のビジネスについて直接話をする機会を提供することです。その背景は、昨年の組織改編で、農業機械センターは開発機械の製造を外部の民間企業に委ねることが決まったことにあります。せっかくの機会ということで、当プロジェクトの活動の一つである機械の認証試験制度や試験で使用する測定機器などの展示説明も行いました。
前半は同センター内での技術紹介と機械展示です。まず研究開発棟の1階で、センター職員がプレゼンテーションスライドと彼らの力作であるビデオクリップを使った説明をしました。その後、屋外展示スペースにて各機械の担当職員が参加者に説明し、参加者からは活発な質問が出ていました。試作品の一つである携行型刈取機は、既存の草刈り機をバリカン式の刈刃に変え、刈取時の作物を保持するフレームをつけたもので、草刈り機の販売業者の一人は、今後のビジネスのための良いきっかけとなったと満足そうでした。農業機械の試験棟内の視察では、試験制度の仕組みや実際に測定機器を見ることは多くの参加者にとって初めてで、参加者の皆さんは大変興味深くセンター職員の説明に聞き入っていました。

展示説明の後、参加者は機械の実演会場である近くのジャガイモ畑へと移動しました。パロでは水田の裏作としてジャガイモが栽培されています。この地域は標高が高く(約2200メートル)冬の訪れが早いため、水田栽培の時期は限られています。そのためジャガイモの掘取りを5月下旬ころまでに終わらせて、すぐに田植の準備にかからなくてはなりません。時期がずれると稲の収穫量にも影響するため、このジャガイモ掘取りの効率化は大変重要なのです。

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プロジェクトマネージャーによる技術紹介

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屋外展示の様子

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携行型刈取機の展示説明

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機械試験の騒音測定機器の説明

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ジャガイモ掘取り機の実演

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掘り出されたジャガイモ

耕耘機の後ろに付けられたジャガイモの掘取り機が、畝底部の土を崩していきます。そこでジャガイモの葉の部分を持ち上げると、緩くなった土の中からイモが茎に付いた状態で現れます。これまでは手鍬を使って一つ一つ掘り出していましたが、掘取り機を使えば容易にイモを集めることができ、且つ手鍬でイモを傷つける心配もありません。参加者からは、早速販売価格の質問なども出ていました。
4年間のプロジェクトの活動を通じて、センター職員は農業機械研究開発の一連のプロセスを学んだことになります。それらは農業機械化の現状とニーズ把握に始まり、企画作り、試作品製作の作業、試作品の圃場での試験と農民からの意見聴取、試験レポート書き、そして民間への技術の橋渡しのための実演です。プロジェクトはあと2か月で終了しますが、農業機械センターはこの7月から政府の新しい5か年開発計画に沿った業務を進めることになっており、プロジェクトで培った知識経験を生かして研究開発業務を進めてくれることを期待しています。

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本邦研修後に開発された耕運機用の鍬

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視覚化された活動と成果の説明

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国家標準局に認証された基準の展示

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エンジンテスト装置の説明

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JICA専門家による日本式農業機械の説明

【画像】全参加者と関係者の集合写真