プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)住民関与を目指した地方行政支援プロジェクト
(英)Project on Support for Community Engagement in Local Governance(SCLG)

対象国名

ブータン

署名日(実施合意)

2015年3月31日

協力期間

2015年8月20日から2018年11月19日(3年3ヵ月)

相手国実施機関名

内務文化省地方行政局(Ministry of Home and Cultural Affairs, Department of Local Governance)

プロジェクトサイト

3県(Dzongkhag/ゾンカック):プナカ県、ダガナ県、モンガル県

対象ターゲット

セクター別ユーザーグループ(主要)、CBO(Community based organization)、Zomdu(世帯代表者の寄合)、想定されるターゲットのコミュニティグループ

プロジェクトの背景・経緯

ブータン国では、1972年に即位した第4代国王が国政改革や近代化を推し進め、第5代国王になって王政から議会制民主主義への移行及び地方分権化が促進されています。具体的には1981年に県(ゾンカック)レベルの県開発議会、1991年に地区(ゲオック)レベルの地区開発議会の設置により地方行政体制が整備され、2002年6月には初の成人男女(21歳以上)の直接投票による地区長選挙が行われました。2008年には初の成文憲法の制定(第22条にて地方行政)、2009年に地方行政法、2012年には地方行政細則が制定されるなど、地方分権化への動きは加速しています。
こうした状況を踏まえ、JICAは、2004年3月から2006年10月まで「地方行政支援プロジェクト(フェーズ1)」を通じて、3県25地区を対象にパイロット事業を展開し、地方行政制度の構築を図るとともに関係職員の能力向上を中心とした協力を実施しました。
2008年7月に開始した第10次五カ年計画では、中央政府から全国205の地区に直接配賦する地方交付金制度(Annual Grant)が導入され、地区レベルにおける地方交付金を運用するための開発計画の策定及びその実施を担うための人材育成が急務の課題となりました。これに対応すべく、ブータン政府は地方行政官能力向上のための総合人材育成計画(Integrated Capacity Building Plan:ICBP)を提唱しました。JICAは2007年10月から2010年10月まで「地方行政支援プロジェクト(フェーズ2)」を実施し、このICBPの主管部署である国家計画委員会(Gross National Happiness Commission:GNHC)地方開発局(Local Government Division:LDD)をカウンターパート機関として、ICBPに係る更なる人材育成を支援しました。
フェーズ2では地方開発に係る計画作成のための研修(Planning and Prioritization)を実施しましたが、これら研修に参加した地方行政職員が実際に住民のニーズをくみ取り、開発計画や予算に反映するための「仕組み作り」の重要性が提言として残されたことにより、2011年2月から2014年8月まで「地方行政支援プロジェクト(フェーズ3)」を実施しました。フェーズ3では、本邦研修及び第三国研修を通じて地方行政官の育成を支援すると共に、地方行政官の幅広い能力向上が求められることから新たな研修コース(Community Facilitation、Project Management、Basic Engineering)をICBP研修コースに加えました。
上記のとおり、ブータンにおける民主化は地方分権化の促進と共に急速に推し進められてきましたが、地方行政の機能の強化に伴い、国民の伝統的な互恵機能や自助機能が弱体化する点を同政府は懸念しています。また、憲法第22条及び地方行政法では、地方行政における住民の行政参画は義務であると提唱されていることから、コミュニティにおけるオーナーシップの醸成やエンパワーメントが次の課題となっています。地域開発において住民参画が重要視される中、2015年8月から本プロジェクトである「住民関与を目指した地方行政支援プロジェクト」が開始しました。

現在、JICA長期専門家2名と内務文化省地方行政局のカウンターパートが協働で住民関与を目指した様々な活動を進めています。

目標

上位目標

コミュニティグループの地方行政参画を促進する方策が全国に展開する。

プロジェクト目標

コミュニティグループのオーナーシップと行政参画強化のためのメカニズムが確立する。

成果

1.コミュニティの行政参画モダリティが強化される。
2.コミュニティの行政参加促進に係る地方行政官及びコミュニティグループの能力が強化する。
3.地区の情報共有機能が確立する。

具体的な活動内容(予定)

【1年目】

成果1:【政策策定】コミュニティの行政参画モダリティ強化

・内務文化省地方行政局(DLG)及び地方行政関係者に対し、コミュニティ行政参画に係る優良事例を紹介するためのセミナー/ワークショップを実施する。
・DLG がコミュニティに対し行政参画を促すための意識向上ワークショップを開催する。
・「コミュニティ行政参画政策」を作成するため、DLG及び関係省庁間でワーキンググループを形成する。
・コミュニティの参画やユーザーグループの形成に関連する既存マニュアルやガイドラインをレビューする。
・地域開発における中央政府からコミュニティレベルまでの関係者の責任や役割を明確にするための調査を実施する。

成果2:【人材育成】地方行政官及びコミュニティグループの能力強化

・協力対象地区を選定するための基準を設け、それに基づきパイロット地区を選定する。
・現状把握のためのベースライン調査を実施し、地方行政関係者およびコミュニティグループの能力強化が必要とされる分野を明確化し、LGDGワーキンググループで協議する。
・上記活動に基づいて、既存のICBP 研修モジュールやカリキュラム、教材などを改訂する。
・地方行政関係者及びコミュニティグループに対し、研修を実施する。
・研修実施後、研修モジュール、カリキュラム、教材を見直す。
・コミュニティ開発プロジェクト実施のためのガイドライン/マニュアルを作成する。
・ターゲット地区においてコミュニティ開発プロジェクトを実施するためのコミュニティグループを選定し、地方行政関係者及びコミュニティ向けに改訂された研修モジュール、カリキュラム、教材を活用しながら研修を実施する。ここで、コミュニティ・コントラクト規定を導入する。
・国外における研修を実施し、研修員が帰国後に経験を共有するためのワークショップを開催する。