初の果樹デモンストレーション農家・育苗農家の導入研修(2016年10月)

2016年11月10日

10月中旬〜下旬にかけて、初年度の果樹普及農家の導入研修を行いました。
プロジェクトへの期待は非常に高く各県農業普及所や農家からの普及希望は多いのですが、活動拠点となるバジョ農業試験・開発センター(ARDC)およびミトゥン支場の圃場・普及体制の整備には時間を要し、普及用の種苗生産体制も十分ではないことから、初年度はプロジェクトチームが域内を回って標高や農家の状態などを確認しつつ選抜した果樹デモンストレーション農家8名(対象4県から各2名)と果樹種苗農家4名の計12戸が対象となりました。

研修は最初にバジョARDCで、プロジェクトによる普及支援活動とデモンストレーション農家の位置づけ、3回に分けて行われる研修プログラムの概要、対象園芸作物(果樹)、必要な圃場準備と管理など農家の責務を説明し、農家の参加意思を確認。
その後、東部のモンガル県に移動し、JICAが2004〜2014年にかけて実施した類似プロジェクト(東部2県生産技術開発・普及支援プロジェクト:AREP、園芸作物研究開発・普及支援プロジェクト:HRDP)の拠点センターであるウエンカルARDCおよび周辺の普及農家で実際の果樹の栽培状況を見学しました。

標高1700メートルのウエンカルARDCではプロジェクトで普及を想定している柿・梨・キウィ・柑橘などの特性と栽培上の留意点の講義を受けた後、実際の栽培事例を見学してキウィの定植実習を行い、キウィ・甘柿・和梨を始めて口にしてその美味しさに感嘆。標高600メートルのリミタンARDSCではアボカド・マンゴー・ドラゴンフルーツ・文旦などの栽培事例を見学し、アボカドの接ぎ木を実習。更に周辺のJICAプロジェクトでの普及農家やウエンカルARDCがポストプロジェクトとして実施している大規模果樹農家などを見学。AREP/HRDPが普及した農家では梨・柿などが本格的に収穫できる樹齢となり、農家によれば「1本当たり約3000Nu(≒5千円)の収入。最近は収穫前から予約が入り、直接買いに来るので街に売りにゆく必要もない」との話しに研修農家は興奮気味でした。

小型トラック3台に分乗して、拡幅工事で状態の悪い東西国道を片道2日の移動は大変でしたが、モンガル最後の夜にARDCが催してくれた会食で研修農家からは「多くのことを学び果樹栽培の高い可能性を確認した。JICAプロジェクトの支援を受けられる幸運を大事に栽培に励みたい」との熱い思いが述べられ、既に梨・桃・リンゴなどを栽培している農家からは「目が覚めた。今の樹を伐採して一からやり直したい」との言葉がありました。
やや過剰な期待も感じられますが、ウエンカルARDC所長の「中西部はマーケット的にもポテンシャルが高いが、安易に夢を見ることなくプロジェクトの指導を着実に実践することが肝要」との言葉を胸に刻み、IHPP初のデモ農家として精進して欲しいものです

プロジェクトではこの後、各農家の圃場確認・植栽レイアウトを経て、来年1月に定植・栽培管理の実務研修、夏には樹体管理研修を行う予定です。

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ARDC Wengkhar PDのブリーフィング

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果樹栽培にかかる講義

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果樹(キウィ)の定植実習

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始めてみる大きな梨(愛宕)を手に

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柿・キウィの試食

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普及農家での樹体管理の説明

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アボカドの接ぎ木実習

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最後の会食で感謝と決意を述べる農家