初年度の果樹デモンストレーション・育苗農家の第3回(最終)研修(2017年6月)

2017年6月29日

プロジェクトの果樹デモンストレーション・育苗農家の第1期生として、対象4県から選抜された13戸(デモ農家9、育苗農家4)を対象に、昨年10〜11月の導入研修と各農家の栽植レイアウト。今年1〜2月の定植・樹体管理研修と苗木配布・定植を経て、6月15・16日に第3回として果樹の摘果・夏野菜栽培研修を行いました。

殆どの農家には初めてとなるチラン県のミトン支場では圃場見学の後に柑橘の摘果。ワンディフォドン県のバジョ本場では、1月の研修で自らが接木した苗木が成長していることを確認した後、マンゴ・柿の摘果、キーウイやブドウの棚の作り方と枝の誘引方法、夏野菜の紹介と栽培上の留意点を説明。更に、今回で一連の研修が終了することから、農家による研修評価、普及した作物の栽培状況報告、今後の課題に対する助言・指導を行い、最後に研修修了書が授与されました。

ブータンでは果樹は植えておけば自然に育つものとの認識が未だ強く残り、整枝剪定などの樹体管理も殆ど行われず、特に摘果は「実ったものを捨てるのはもったいない」との意識が強いせいか農林省関係の試験場などでも殆ど行われていませんが、「摘果による木への過度な負荷の軽減、隔年結果をなくし、果実の肥大を促し収量はそれ程変えずに良質な果実を得て高く売ること」を説明。実際に摘果を行うことで農家の摘果に対する抵抗も多少は軽減されたようです。
夏野菜栽培では、トマト・ナス・オクラ、野菜の少ない春先に収穫できるズッキーニ、味の良い日本種のカボチャやスイカ、スイートコーンなど夫々の作物の栽培事例を見せながらその品種特性と栽培上の留意点を説明。実習としてカボチャ・スイカの収穫を行った後は試食を兼ねてスイカの種取りも行ってもらいました。

普及した作物の栽培状況ではアボカドなど一部苗木の枯死が報告されましたが、全体の生存率は95%(約637本中608本)と高い数値が示され、乾季後半の2~5月の乾燥の厳しい時期でも潅水などの管理をしっかりと行っている様子が確認できました。果樹の収穫を得られるまでには更に数年を要しますが、育苗農家は来年には苗木の出荷が可能となります。また、一部の農家からは樹間栽培した野菜で数万ヌルタム(1ヌルタム≒1.7円)の収入を得たとの報告があり、換金野菜の栽培にも強い関心と意欲が示されました。

研修評価では、13名中12名がこのような長期に渡る研修は初めての経験でしたが、総合で全ての農家が「とても良い」と評価。定植・整枝剪定・接木・摘果など個別の技術についても90%以上が「有用、実践済/実践する自信がある」との回答でした。

研修修了書と収穫したカボチャ・スイカ、種苗を手に笑顔で帰った農家が、労を惜しまず研修で教わったことを着実に実践し、数年度には後輩農家の研修先として育ってくれることを祈ります。

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柑橘の摘果方法の指導

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柿の摘果実習

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自分が接木し名札を付けたスモモ苗木の成長を確認

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キウイの誘引の剪定・誘引方法の説明

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ナスの栽培方法の説明

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生で食べても甘いスイートコーンに農家はビックリ

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カボチャの収穫

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スイカの食採種

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農家による栽培状況の報告と質疑応答

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研修評価の聞き取り調査

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バジョ ARDCセンター長から研修修了書を授与

【画像】修了書を胸に全員で記念撮影