第3期果樹普及農家育成プログラムの第2回研修

2019年2月28日

そろそろ寒さも和らぎ始める1月下旬、果樹普及農家育成プログラムの第2回研修が行われ、同プログラムの3期生31名が参加しました。昨年10月に行われた第1回研修では、園芸農業先進地域への視察を通じ、果樹普及農家の目指すべき目標を理解してもらうことに主眼が置かれていましたが、今回の研修では、いよいよ接木、整枝、剪定といった果樹栽培の基本技術を実地で学ぶことになります。
研修は、3日間のカリキュラムで行われました。初日と2日目が技術研修に充てられ、参加農家は、プロジェクトの拠点であるバジョ農業研究開発センターでの接木実習、同センター周辺農家での整枝・剪定実習に取り組みました。多くのプログラム参加農家にとって、果樹を栽培すること自体ほとんど経験がなく、ましてや専用の鋏(はさみ)や鋸(のこぎり)を使っての管理作業など全く未知の体験です。みな最初は慣れない手つきでおっかなびっくりの作業でしたが、興味津々で積極的に取り組む姿からは、新しい技術・知識を学ぶ機会に恵まれた喜びが溢れていました。
研修最終日は、バジョ・センター圃場での果樹苗木の掘り取りと配布です。事前に植栽予定地で行った調査結果に基づき、一軒あたり50本前後の苗木が果樹普及農家に提供されました。プロジェクトが普及用に生産する苗木はナシ、カキ、モモ、キウィ、クルミ、柑橘類、アボカド等で、農家の標高に応じ適切な種類の果樹を選んで配布します。参加農家はこの苗木を村に持ち帰り、研修で学んだ技術を活かしながら、果樹園造りの挑戦をスタートさせるのです。

果樹普及農家育成プログラムも3期目を迎え、経験の蓄積に基づくポジティブな変化が表れてきました。果樹栽培技術の普及事業を継続的に実施するためには、増殖のための苗木や穂木、さらには樹体管理実習に供される幼木や成木の確保が不可欠となります。プロジェクトの活動を通じ、そういった材料が対象地域内で生産・供給できるようになってきました。今回の研修における整枝・剪定実習も、プログラム第1期生あるいは第2期生の圃場で育つ果樹を材料に実施されました。プログラムにおける人的・物的財産の蓄積と活用という正のサイクルが生み出されつつあります。
そして、最も大きな変化は、やはりカウンターパート達の成長です。ブータン側スタッフに全く経験のなかった1期目は、日本人専門家が全てを手取り足取りリードしなければ仕事が進みませんでしたが、3期目ともなると、カウンターパートがプログラムの流れを把握し、各プロセスでの作業内容や留意点を理解できるようになったことから、プログラムの運営が随分とスムーズになりました。今後も、プロジェクト後のプログラムの発展を見据えつつ、カウンターパートがより一層の自発性、主体性を発揮できるようなアプローチを心がけていきたいと思います。

関連リンク:

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対象5県から31名の果樹普及農家が研修に参加しました。

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開講式に続きJICA専門家による果樹栽培の講義が行われました。

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バジョ・センターの圃場では様々な野菜を見ることができます。

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剪定実習での一コマ。初めての経験なので枝を切るのにも勇気がいります。

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果樹普及農家育成プログラム第2期生の圃場で行われた樹体管理実習の様子。

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たどたどしい手つきで接木を行う果樹普及農家。もちろん初めての体験です。

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研修最終日の苗木配布作業。約2400本の苗木を参加農家に提供しました。

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支給された苗木を持ち帰る参加農家。村に帰ればすぐに植付けです。