第6回農業普及員園芸技術研修

2019年4月2日

プロジェクトは、地域の園芸農業振興を担う人材の育成に取り組んでいますが、その対象は大きく三つのグループに分けられます。中心となるのは、カウンターパートと呼ばれるバジョ農業研究開発センター(以下バジョ・センター)の研究者たち。プロジェクトの日本人専門家が日々の活動を共にする同僚であり、地域農業の発展を推進する中堅人材です。次に、生産者たる地域の農家たち。プロジェクトが生み出す成果の最終的な受益者と呼んでもいいでしょう。そして、両者をつなぐ存在としての郡農業普及員。各郡に配置された普及員は、農家にとって最も身近なサポーターであり、プロジェクト活動の中では、園芸普及農家の選抜や新規作物の導入に際し、プロジェクトと農家を仲立ちする役割を担っています。プロジェクトでは、そんな普及員を対象として、その能力向上とともに、彼らを通じ種々のサポートが農家へ届けられることを目的に、園芸技術研修を実施しています。

3月中旬、2日間の日程で、第6回目となる農業普及員園芸技術研修をバジョ・センターで実施しました。普及員研修では、季節的な制約を考慮しながら、園芸農業の普及を図る上で重要と判断される技術課題に焦点を当てます。今回の研修では、落葉果樹の樹体管理、スイカの栽培管理、野菜の種子生産をテーマとして取り上げました。
研修では、まずテーマごとにスライドを使っての講義を行い、当該技術の概要を紹介しました。その後は、バジョ・センターの圃場に出て、そこに育つ作物を使っての実習です。参加した普及員にとっては、実地で新しい技術を学ぶことができる貴重な機会です。支給された道具を片手に、熱心に作業に取り組んでいました。
構造的な問題もあって、郡農業普及員の全体的な技術レベルの底上げはなかなか容易ではありませんが、園芸農業の地域振興という目標の達成を目指す上で欠かせないプレイヤーであることから、プロジェクト活動に対する理解の促進という意義も含め、引き続き本研修を通じた普及員の能力向上に取り組んでいきたいと考えています。

また、今回の研修で特筆すべきは、多くの講義と実習で、バジョ・センターのカウンターパートが講師を務めてくれたことです。日本人専門家との3年にわたる協働の過程で、経験を積み、技術を磨くと同時に、「自分たちがやるんだ」という自信と自覚を備え始めたようです。プロジェクトも残り2年を切りました。今後は、技術の移転だけではなく、日本人専門家からブータン人スタッフへ、活動で果たす役割の移管を段階的に進めることも重要です。

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スイカの栽培管理に関する講義を行うカウンターパート

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第6回農業普及員園芸技術研修の参加者たち

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ズッキーニの移植実習の様子

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ブドウの基本的な剪定方法を紹介する日本人専門家

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カウンターパートによるキウィの剪定技術指導

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カウンターパートによるナシの整枝技術指導