2017年12月の活動ダイジェスト

2017年12月31日

フィリピンの知見をブータンへ 計測震度データベース

12月11日~15日、フィリピン地震火山研究所(PHIVOLCS)のラサラ上級科学研究員が、同国で運用している計測震度データベース・プログラムをブータンの経済省地質鉱山局(DGM)へ紹介しました。PHIVOLCSは日本の防災科学技術研究所(NIED)と「フィリピン地震火山監視能力強化と防災情報の利活用推進プロジェクト」を2015年まで実施し、フィリピンでの地震観測網を強化してきました。日本がPHIVOLCSとDGMをつなぐ架け橋となり、アジア地域の地震監視能力を強化している取り組みのひとつと言えます。

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DGMへ自国のデータベース・プログラムを紹介するラサラ上級科学研究員

石積み試験体の引き倒し実験

12月20日~21日、内務文化省文化局(DOC)と公共事業省技術支援局(DES)が、石積み試験体の引き倒し公開実験を行い、耐震補強の有効性を検証しました。名古屋市立大、香川大、東北大と日大が実験に協力し、4つの異なる目地と補強を施した試験体について、負荷に対する強度や変位に関するデータを収集しました。DESは、これらデータを石積建築物の建築基準やガイドライン作りへ活用します。また、公開実験の様子はブータン国営放送(BBS)が報道しました。

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セメント目地・耐震補強無し石積み試験体の引き倒し実験

材料実験

12月23日、内務文化省文化局(DOC)、日大、名古屋市立大のチームが、版築建築物に使われる材料の強度向上を目指し、材料試験を行いました。版築構造物からくり抜いた円柱供試験体に対し、徐々に荷重をかける圧縮試験を行い、材料の強度データを収集しました。

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圧縮試験の様子

実大実験施設の地鎮式

12月26日、内務文化省文化局(DOC)において実物大実験施設の建設安全を祈願する地鎮式が開催されました。本プロジェクトが建設する同施設は、実物大の組積造建築物を建て、油圧式ジャッキを使い建物へゆっくりと力を加え、耐久力や崩壊パターンを把握する静的実験や、振動台で起こす疑似的な地震に対する建築物の変化を再現する動的実験ができる施設です。プロジェクト担当大臣である内務文化大臣が主催した本地鎮式に、ツェリン・ヤンドン・ワンチュク皇太后様をお招きし、最も格式が高いブータン伝統方式で行われました。ブータン側の若手カウンターパートたちは、皇太后様から「時間を無駄にせずプロジェクトから学んでください」、と激励のお言葉をいただきました。

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安全を祈願するDOCのプロジェクト・マネージャー