2018年3月の活動ダイジェスト

2018年3月31日

第1回合同調整委員会(JCC)

3月8日、プロジェクトの第1回合同調整委員会(JCC: Joint Coordinating Committee)がティンプーで開催されました。JCCとは、日本側と相手国側の関係者から構成される委員会であり、プロジェクトの進捗状況や実施上の問題点を協議し解決策を図る、原則年1回は開催される重要な会議です。日本側からはJICAブータン事務所や専門家が参加し、ブータン側は各カウンターパート機関など合計27名がJCCに参加しました。名古屋市立大のチーフアドバイザーが2017年度の活動総括と2018年度の計画概要を発表した後、経済省地質鉱山局(DGM)が地震観測網の進捗と計画を、内務文化省文化局(DOC)と公共事業省技術支援局(DES)が耐震化技術の開発に向けた実験状況、そして内務文化省防災局(DDM)が防災普及活動について発表しました。課題と解決の議論では、プロジェクト・マネジメント・ユニット(PMU)から、ブータン側の能力向上を加速させるために人材育成タスクフォースを立ち上げる提案がありました。

【画像】JCC集合写真

活断層セミナー

3月9日、経済省地質鉱山局(DGM)が「ブータンにおける活断層と地震減災」セミナーを開催し、防災に従事する関係者20名が集まりました。講師として広島大学の中田高・名誉教授をお招きし、活断層の基礎知識、活断層の事例、ブータンの衛星画像を見ながら活断層がありそうな場所を探す演習を行いました。今後、DGMと日本側研究チームはブータンの活断層マッピングのために、既存のデジタル地形データの収集や航空写真の解読を行い、地震ハザードマップを改良していきます。

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中田教授の講義

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地形が立体的に見える赤青メガネで活断層を探す参加者

新たな高感度地震計の設置成功

3月24日、経済省地質鉱山局(DGM)、京大と防災科学技術研究所のチームが、ブータン北部国境付近のタンザ(4,216m)に新しい高感度地震計を設置しました。同チームは、ブータンの地震リスクを評価するために、地震と地殻活動を把握できる地震観測網を強化してきました。2017年10月に設置したジャンゴタンに続く高感度地震計により、地震活動が活発と言われるヒマラヤ山脈沿いの微小な振動を常時記録することができます。また、高地での作業に伴う急性高山病を予防するため、同チームはヘリコプターで移動し、かつ高地順応済みのタンザ住民から作業協力を取り付け、急激な酸素消費を避ける工夫をしました。

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ヘリコプターでタンザに到着したDGMと京大チーム

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設置作業を手伝うタンザ地元住民