2019年7月の活動ダイジェスト

2019年7月31日

地震リスク評価の試験地域(パイロットサイト)

プロジェクトチームはブータンで地震がおきた時に備え、どんな地形がどのような被害を受け、どのような地盤が揺れやすく、どのタイプの伝統建築物が脆弱なのか調べつつ、想定される地震被害を評価する地震リスク評価を行っています。評価は2チームに分かれ、地震を担当するチームが、実際に発生した地震観測データの解析、詳細な地形や活断層の位置の調査、地盤の揺れやすさの目安(地震増幅度)を調査しています。もう一方の建築チームは、建物の分類(構造、階数や築年数など)とそれぞれの建物が持っている固有周期などを調査しています。両チーム共通の2つの試験地域(パイロットサイト)を選び、ブータン側が調査手法や地震ハザードマップ化の技術などを習得しています。2019年7月、建築チームは土を押し固めた版築造民家が多い西部パロ県ユスナ村で調査を開始し、全ての民家の位置や分類、各棟の振動特性を理解するための常時微動測定などをしました。

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ユスナ村の版築造家屋を下見する専門家チーム

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建物にセンサーを置き常時微動を測定中

実物大民家の試験体が完成

実物体民家の試験体3体が内務文化省文化局(Department of Culture:DOC)の実験施設に完成しました。完成した3体は、建築当初から鉄筋コンクリートの水平バンドなどで補強した版築造、同様の補強をしたセメント目地の石積造、補強なしセメント目地の石積造です。2019年10月に、新築建物の補強効果を検証する静的載荷実験(ゆっくりと油圧ジャッキで水平方向から壁を押す実験)を行う予定です。

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補強なし石積造(左)、補強あり版築造(中)、補強あり石積造(右)