プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)オルロ県母子保健ネットワーク強化プロジェクト
(英)Mother and Child Health Network Improvement Project in Oruro

対象国名

ボリビア

署名日(実施合意)

2015年10月26日

プロジェクトサイト

オルロ県

協力期間

2016年2月22日から2020年2月21日

相手国機関名

(和)保健省、オルロ県政府、オルロ県保健局(SEDES Oruro)
(西)Ministerio de Salud, Gobierno Autónomo Departamental de Oruro, Servicio Departamental de Salud de Oruro(SEDES Oruro)

背景

ボリビア多民族国(以下、ボリビア)は、中南米においてハイチに次いで妊産婦死亡率(2013年WHO推計値:200対出生10万件)、5才未満児死亡率(同39対出生1千件)及び乳児死亡率(同32対出生1千件)が高い。中でも家計所得、教育水準が低い世帯、先住民が多く居住する高地高原地域の健康指標が悪く、国全体の高い死亡率に大きな影響を与えている。この状況は過酷な環境に居住している妊産婦及び乳幼児に対し、基礎的なケアを提供できる保健医療人材の不足に加え、地域の保健医療施設への信頼度の低さやコミュニティ・家族内での女性の意思決定権が弱いといった慣習により、適時に保健医療サービスを利用しないなど、複合的な背景に起因するものと見られている。

ボリビア西部の高地高原地域に位置するオルロ県は、標高約3700メートル地点にある県都オルロ市を含め35市人口46万人を抱え、先住民も多く住む地域である。同県内には167箇所の公的保健医療施設が存在するが、そのうちの99%は一次保健医療施設(保健センター、保健ポスト)である。同県の5歳未満児死亡率(オルロ県保健局統計報告:69対出生1千件)及び1歳未満児死亡率(同:56対出生1千件)は、上述の全国平均値より高く、母子保健関連指標は総じて悪い状況にある。オルロ県内でも特に地方・農村部では規模の小さい一次保健医療施設(主に保健ポスト)があるのみであり、このような小規模な施設では、医師はおらず、多くの場合准看護師1名が配置されるのみなど保健医療人材の数・質が十分でない。したがって、特に地方・農村部では、国が定める基準を満たし質の伴った保健医療サービスが提供できておらず、点在するコミュニティへの定期的な巡回診療も困難であることから、地域住民が適切な保健医療サービスを享受しにくい環境にある。

このような状況下、ボリビア保健省は、2008年に発表した「多文化・コミュニティ家庭保健政策(以下、SAFCI政策)」(注1)の中で、コミュニティ・家族自らが健康リスクを考え、自らの健康改善に必要な予防的措置を講ずる住民参加型のヘルスプロモーションの浸透を図ろうとしている。しかしながら、住民参加型のヘルスプロモーションを効果的に実施するために必要な経験・知見を有した人材は極めて限られており、現場レベルでの実践には至っていない。

JICAは、「サンタクルス県地域保健ネットワーク強化プロジェクト」(2001年〜2006年)を実施して以降、右プログラムの前身である「母と子どもの健康に焦点を当てた地域保健医療ネットワーク強化プログラム」の中で、同プロジェクトで確立した住民参加型のヘルスプロモーション手法(FORSA手法)(注2)等の協力手法をベースに、「権利、多文化、ジェンダーに焦点をあてた村落地域保健ネットワークプロジェクト(対象地域:コチャバンバ県等)」(2007年〜2011年)、「ラパス県農村部母子保健に焦点をあてた地域保健ネットワーク強化プロジェクト」(2008年〜2014年)、及び「ポトシ県母子保健ネットワークプロジェクト」(2013年〜2017年)を実施してきた。

本プロジェクトでは、これらの協力実績で確立したFORSA手法やツールを対象地域で活用するとともに、ボリビア側カウンターパート機関であるオルロ県保健局によって県内全てに導入されるよう県として制度化する計画である。さらに、本事業で得られた成果については、オルロ県保健局とともに県内の保健医療従事者へ共有するためのワークショップを開催することに加え、ボリビア保健省にフィードバックし、新規採択済の「保健医療サービス改善のための医療技術者育成システム強化プロジェクト」とも連携して全国へ普及・展開する予定である。

(注1)SAFCI政策は、「健康に対する考え方は文化により異なること、病気に対処するよりも健康的に生きること」を重視し、個人・家族・コミュニティを基盤とする先住民族の価値観を含むアンデス文化と西洋文化を取り込んだ、多文化を統合したケアモデルの概念を掲げている。
(注2)「サンタクルス県地域保健ネットワーク強化プロジェクト」(2001-2006年)で導入された住民自身の健康問題を住民自身で解決していくことを目指す、参加型手法。医療従事者が、地域住民と地域の健康及びそれを取り巻く諸課題を話し合う場を作り、住民の健康に対する意識を高め、健康問題への対処能力を高めると同時に、共同体の強化にも資する手法である。

目標

上位目標

オルロ県の妊産婦及び5歳未満児の健康が改善する。

プロジェクト目標

対象地域(注3)において、住民参加による母子保健サービスが改善する。

(注3)オルロ県アサナケ、ミネラ、ノルテの3保健管区(計16市)

成果

成果1:対象地域の保健医療施設において、母子保健サービスの質が改善される。
成果2:対象地域において、保健医療施設との協力を通じ、母子の健康に関連した生活習慣の向上に向けた活動を住民が実践する。
成果3:対象地域において、保健情報分析、スーパービジョン、計画策定を通じ、市保健ネットワークの保健マネジメントが向上する。

活動

上述の各成果達成に必要な各種調査、研修計画・教材の開発・策定、研修会の開催、各種ガイドラインの開発・策定・普及、活動進捗モニタリング等を行う。

投入

日本側投入

・専門家派遣:チーフアドバイザー/ヘルスプロモーション、業務調整/研修管理、母子保健、保健情報分析等
・機材供与:母子保健に係る診療・研修用機材等
・研修員受入:本邦研修「公衆衛生活動を通じた母子保健強化」
・在外事業強化費:現地コンサルタント傭上費、研修開催費、製本印刷費等

ボリビア側投入

・カウンターパートの配置:オルロ県保健局担当職員(本事業に係る活動・予算計画の策定、県内での活動成果の共有等)、アサナケ、ミネラ及びノルテの各保健管区職員(各保健ネットワーク内での本事業の活動の実施、実施状況のモニタリング・報告等)
・専門家執務スペースの提供
・プロジェクト活動実施に必要な資機材の提供及びその維持管理経費
・カウンターパート活動経費(旅費等)