共通コア・カリキュラム策定セミナー&体操ワークショップ開催!!(その2)

2017年9月14日

プロジェクトでは、日本体育大学より岡出教授、荒木教授にモスタル市にお越しいただき、保健体育カリキュラム策定支援のためのセミナーを開催しましたが、同時にモスタル市内の各所で荒木教授による「体操ワークショップ」を開催しました。

9月13日、モスタル市にある障害者施設「Los Rosales(ロス ロサーレス)」にて、市内4つの障害者施設より約30名の障害者の方々と施設のスタッフを招待しワークショップを実施しました。

まず初めは手だけを動かす簡単な体操から、少しずつ動きを増やし、最終的には音楽に合わせた体操を行いました。その後、1mほどの長さに切ったトイレットペーパーを使って行う体操遊びを取り入れました。ペーパーの先端を持ち、頭の上でひらひらと大きく振ったり、空中に投げて落ちてくるまでに何回拍手ができるかを競い合ったり、頭の上にペーパーを乗せて落ちないようにゆっくり歩いたりといった、様々な動きを取り入れた遊びです。トイレットペーパーの軽くて破れやすいという特性を活かして、微妙な力加減で指や手、体を使ってペーパーを扱うことで、体の機能訓練にもなりますし、何よりも遊びの面白さから、小さな子どもから大人まで楽しんで動けていた様子が印象的でした。

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障害者施設にて体操指導

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障害者施設にてトイレットペーパーを使った体操遊び

施設のスタッフからは「人それぞれ様々な障害の度合いがあるが、速い動きやゆっくりした動きを取り入れて、いろいろな種類の体操を工夫して行うことができることがわかった。このような新しいアイデアを学ぶ機会をぜひまた提供して欲しい。」との感想がありました。荒木教授からは「音楽を使って行う体操は、慣れてくると条件反射で体を動かすことができるようになるし、特に子どもは集中して取り組むことができるので、これからもぜひ日常的に取り入れてみてください」とのお話がありました。

9月14日午前中は、市内にある2カ所の高齢者施設にて、それぞれ約20名の高齢者の方々と施設スタッフを対象に1時間程度のワークショップを実施しました。2つの施設は市の東側(ボシュニャク系の人々が主に住む)と西側(クロアチア系の人々が主に住む)に位置し、それぞれ約60名の高齢者の方々が居住しています。施設の居室やリビングルームでのんびりと過ごす他には、動ける人たちはたまに近くの公園に散歩に行ったり、近隣の病院のリハビリテーションセンターに行ったりするようですが、それ以外に体を動かす機会があまりなく、施設には、体操などの身体活動を指導する専門のスタッフもいません。

ワークショップの内容は、障害者対象のワークショップ同様、音楽に合わせて動く体操とトイレットペーパーを使用した体操遊びを実施しました。

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高齢者施設(東)にて トイレットペーパーを使用した体操遊び

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高齢者施設(東)にて 音楽に合わせた体操指導

ワークショップの最中、楽しそうに積極的に体を動かす人もいれば、ほとんど体を動かさず椅子に座ったまま様子を観察しているだけの人もいました。高齢者の方々は、体の機能的な個人差もありますが、それ以上に体を動かすことへの意欲が、人それぞれ大きく違うと感じました。これまでほとんど体を動かすことをしていない人にとっては、簡単な運動でも最初は難しく、動こうとする意欲を引き出すことも難しいとわかり、毎日の運動習慣がいかに大切かということを実感しました。

施設のスタッフからは「施設には、まだ若くて体を動かせる人がたくさんいますが、そういう人たちも含めて、ほとんどの人たちはそもそも施設に入ることを全く楽しいと思っていません。運動習慣はとても大切なので、これからは、毎朝このような運動を取り入れたい。」という話がありました。このワークショップをきっかけに少しでもみなさんの運動に対する意識が変わっていくことを期待しています。

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高齢者施設(西)にて集合写真