共通コア・カリキュラム策定セミナー&体操ワークショップ開催!!(その3)

2017年9月14日

14日午後、モスタル市スポーツ協会(以下、SSGM)と共催で、市内の幼稚園教員7名、小学校低学年教員25名(うち特別支援学校体育教師2名)を対象に教員セミナーを実施しました。SSGMと教育研究所は年に2回、ネレトバ県内の体育教員へのセミナーを提供していますが、今回ターゲットを幼稚園教員と小学校低学年教員としたのは、該当する多くの先生たちが園児・児童たちに体育を教えるための十分な知識と実技指導技術やそれらを発展させるための研修等の機会が不足しているという現状が、プロジェクトとSSGMでは課題と捉えられているからです。

ボスニア・ヘルツェゴビナ(以下、BiH)ではプライマリースクール(日本の小学校と中学校の9年間に当る)の4年生までは学級担任制となっており、クラス担任がすべての教科を指導して体育も4年生までは担任が指導し、5年生からは体育専科の教員が指導するという仕組みになっています。子どもは様々な遊びや動きを通して、基本的な身体能力や体力、バランスや柔軟性などを身につけます。また体の発達だけではなく、心の発達にもこの時期の遊びや運動の経験が大きく影響しますし、幼い頃の楽しい運動経験や習慣がその後、生涯にわたって運動を楽しむことに繋がります。そのため幼稚園、小学校低学年期の運動経験は非常に重要です。

このような問題意識から今後、プロジェクトではSSGMと協力して幼稚園、小学校低学年教員へのワークショップやセミナーを発展させていくことを計画していますが、その手始めに今回、荒木教授による体操ワークショップを実施することとなりました。

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教員セミナーにて荒木教授の講義

セミナーは、まず荒木教授の講義から始まりました。ヨーロッパで始まった体操がどのように世界に広がっていったかという歴史と体操の種類や特徴、体操が昔から日常生活に取り入れられていたこと、現代の社会においても、家庭や職場で体操を取り入れることの重要性などが説明されました。

その後、実際に「体を動かしてみよう!」ということで、音楽を使った体操数種類とトイレットペーパーを使用した体操遊びが展開されました。体操や遊びは小さい子どもでも簡単にできて楽しめるものです。

前述のように、課題として体育教員たちへの研修が必要との認識はありましたが、実際には参加者たちがどのような反応を示すかは心配でした。しかし、予想以上に参加した先生たちが積極的に取り組み、先生たち自身が体操そのものを楽しんでくれたことは驚きでもあり、とてもうれしい反応でした。

参加者のアンケート回答を紹介します。

「このような体操領域が新たな体育カリキュラムに含まれることについてどう思いますか」という問いに対して、「指示する」と答えた人が62%、「可能性はある」と答えた人が13%でした。

「幼稚園や小学校低学年の子どもたちにこのような体操が喜んで受入れられると思いますか?」という問いに対して、「喜んで受入れられる」という回答が47%、「おそらく受入れられる」という回答が28%でした。

「今日のワークショップは満足でしたか?」という回答には、「とても満足」という回答が78%、「だいたいは満足」という回答が19%という結果でした。

「体育の指導において何が主な課題ですか?」という質問に対して、多かった回答は「機材・用具の不足」「教員研修の不足」という回答がどちらも23%、「指導書や教材の不足」という回答が20%、「体育館などの室内スポーツ環境の整備」という回答が14%でした。

これらの結果から、今回のワークショップが現場の先生たちのニーズにある程度合致していたこともわかりますし、”Gymnastics for All”の「誰でも、どこでも、気軽に体操を楽しもう!」というコンセプトが、BiHの学校現場でも受入れられるのではないかということが期待できます。

プロジェクトのカウンターパートであるSSGMからは「今回の荒木教授によるセミナーは我々協会にとって、また参加した先生達にとっても非常に貴重な機会となりました。荒木教授に来ていただけたことを大変感謝しています。先生たちの満足度も非常に高く、楽しかったという感想や、またこのような機会を作って欲しいという声がありました。」との感想がありました。このことから手応えを感じることができた収穫の多いワークショップとなりました。

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教員セミナーにて トイレットペーパーを使った体操遊び

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教員セミナーにて体操指導