モスタルで根付くUNDOKAI(運動会)

2019年5月22日

2年目のUNDOKAI

プロジェクトとモスタル市スポーツ協会(以下、SSGM)は、2019年5月20日から22日の3日間にわたり、モスタル市の小学4年生を対象にUNDOKAIを実施しました。今回2年目となるUNDOKAIは、市内に存在する23の小学校のうち、参加を希望した14校から、約300名の小学生と教員が参加しました。

昨年5月に初めて実施したUNDOKAIは参加した学校の生徒や教員から大好評だったため、SSGMはこれを年次イベントとして取り入れていくことを決めました。今年は昨年度参加していなかった8校が新たに参加しました。

また、プロジェクトは昨年度、UNDOKAIをより普及させるために、玉入れのかごや綱引きのロープなどの機材を購入し、SSGMと共同で市のスポーツセンターで管理し、誰もが活用できるようにしています。実際にこれまでもいくつかの学校やNGOなどが独自のイベントのために機材を利用し、少しずつUNDOKAIが広まっています。

【画像】集合写真

スポーツ協会の努力

昨年度、プロジェクトが実施した能力強化研修を受けたSSGMは、研修の中で学んだファンドレイジング手法を活かし、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の保健省が実施した“健康促進プロジェクト”に企画書を提出しました。それが見事採択され約70万円相当の予算を獲得し、「小学校低学年児童の運動促進プロジェクト」と題するプロジェクトを実施しました。UNDOKAIはそのメインアクティビティとして位置付けられ、イベントに必要な機材の購入や栄養ワークショップのための食材、広報マテリアルなどのすべての費用はSSGMが独自に得た予算で賄われることになりました。これはSSGMの努力の結果であり、プロジェクトとしてもうれしい成果となりました。

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SSGMが作成したPRポスター

当日の様子

当日は、昨年も実施した障害物競走、玉入れ、綱引きに加え、なわとび競技や栄養についてのワークショップを実施しました。障害物競走や玉入れは昨年と同様大変盛り上がり、競技する子どもたちの一生懸命な姿や、友達を応援する姿は見ていてとても感動的でした。

今年新たに取り入れたなわとび競技は、学校ごとに全員が合図と共に一斉に飛び始め、一番長く、失敗せずに飛び続けられた子が学校の代表として、決勝ラウンドに進むというルールで行いました。これは、体育授業や日常生活の中で、手軽にでき、運動効果も高いなわとびをもっと取り入れてもらうための取り組みです。

栄養についてのワークショップでは、ジェマル・ビェディッチ大学体育学部のポポ教授を招き、子どもの健康にとって大切な栄養について話をしてもらいました。その後、教授自らエプロンをし、フルーツやナッツ、オートミール、ヨーグルトなどを使ったミックスジュースを作り、子どもたちに“特製ジュース”を振舞ってくれました。子どもたちからは「美味しい~!!」と大好評でした。

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綱引きの様子

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なわとび競技の様子

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障害物競走の様子

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栄養ワークショップの様子

参加した先生たちの感想

グノイニッツェ小学校体育教員

UNDOKAIは、子どもたちが他の学校の子どもたちと一緒にスポーツを楽しむことができて素晴らしいと思います。現代の子どもたちを取り巻く問題として、外遊び離れや運動不足がありますが、このように楽しく体を動かすことで、子どものやる気を引き出すことができます。子どもたちが楽しい運動経験を通じて、生涯にわたり運動に親しむ態度を育てることは大切だと思います。言葉で「スポーツは楽しい」「スポーツをしよう」と伝えても、その楽しさは伝わりませんが、実際にこのように体験することが大事です。今回一緒に参加した学校の先生たちと協力して、これから月に一回程度、ミニUNDOKAIを開催しようと話をしたので、ぜひ実践したいと思います。

モスタル第6小学校教員

UNDOKAIは今回初めて参加したが、子どもたちが大満足している様子を見て素晴らしいと感じました。年に1回ではなく、もっとこのような機会を作りたいです。子どもにとって新しい経験、他校との交流は大切です。学校内でも紹介し、実践したいと思います。最初の準備体操がとてもよかったです。音楽を使う体操はあまりやったことがありませんでしたが、子どもたちにとって印象に残っていたようで、学校に帰ってからも動きを真似したりしていました。今回このイベントに参加できてとてもよかったです。

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音楽に合わせた準備体操の様子

楽しさの追及

スポーツをすることは、子どもの体力を高め、健康を促進するだけではなく、仲間と協力したり、新しいことや困難なことに挑戦する勇気を育てたり、達成感を味わうことができ、心と体の両方を育てることは言うまでもありません。しかし、小学校低学年において最も大切なのは、スポーツを楽しむことです。「体を動かすことって楽しいな」と子どもが実感することが何よりも重要です。楽しさを追求することで、「またやりたい」という思いにつながります。子どもは、スポーツがどんなに体に良いかと言葉で説明されても、楽しくなければやりたいとは思わないでしょう。やりたくない練習を無理やりやらされたら、むしろスポーツが嫌いになってしまうかもしれません。

だからこそ体育の授業や学校行事の中で、誰でも簡単にできて、楽しいスポーツレクリエーションを取り入れる必要があるのです。難しいルールなどは必要ありません。Let’s enjoy sports!!

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大きな声で応援する姿

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子どもに大人気のポポ教授