第三回JCCに向けて

2017年3月15日

2015年6月のプロジェクト開始から2016年9月までの間に、日本とタンザニアで二度のJCCが開催されました。これは、南部アフリカ開発共同体(SADC)事務局との合意のもと、対象地域であり活動現場となるSADC加盟15か国の関係者の間で、プロジェクトの詳細について、あらためて確認し、活動内容について合意を形成するプロセスに欠かすことができません。JICAではSADC事務局と協働して、15か国の会議参加と議論の場を設定し、協力枠組みを確実なものにしてきました。

第二回JCCに続き、これまで3分野で実務者による初めての専門家作業部会(EWG)を開催し、JCCの議論に加え、具体的な活動に関する議論を重ね活動計画を策定しました。
これで、2016年度までに15か国を対象とした地域協力プロジェクトの計画段階が無事整ったと言えます。
プロジェクト対象地域であるSADCはアフリカ大陸の南側、タンザニアとコンゴ民主共和国から南の15か国からなり、インド洋上の3つの島しょ国も加盟しています。森林だけでなく、森林を取り巻く生態系、気候、文化も異なり、英語・フランス語・ポルトガル語の3つの言語が公用語となっているなど、多様性に富む地域です。各国における森林の定義や、森林にまつわる課題、森林がわたしたちに与えてくれる木材や生活の糧のほか、水・大気・癒し効果等さまざまな生態系サービスも、多様で大きく異なります。
そうした多様性に富み、調整が困難な状況ですが、プロジェクトではSADC事務局とJICAがプロジェクト・マネジメント・ユニットとなり、加盟15か国と協力してSADC森林戦略への貢献という一つの目標に向けてプロジェクトを推進しています。
関係者が多国間にわたり、かつ、カウンターパートとなる政府関係者だけでなく、NGOや民間セクター、地域コミュニティなど、さまざまなステークホルダーとも協働する必要があります。一方では困難な部分もありますが、こうした多様性が長所となり、森林保全と持続的な森林資源活用の事例を取り入れながら、プロジェクトが進んでいます。2017年2月の参加型森林管理EWGでは、はじめてSADC加盟15か国全員が一堂に会すことができました。
これまで2回のJCCと5回のEWGを重ね、加盟国からはプロジェクトへの積極的な参加と提言が寄せられています。15か国から15名のJCCメンバー(各国の森林担当局長)、3分野で45名のEWG担当実務者、SADC事務局、JICA日本人専門家チームに加え、SADC域内11のJICA在外拠点が一体となり、プロジェクトを支えています。特に各国JICA在外拠点のナショナルスタッフは森林分野の協力が実施されていない地域でも、現地関係者と密接なコンタクトを取り、案件を支えている縁の下の力持ちです。
多様な関係者が多様な南部アフリカ地域の森林課題に取り組むこのプロジェクト、2017年度は新たに、JJ-FAST(注)を紹介するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からも関係者が参加し、15か国およびプロジェクト関係者に紹介を行う予定となっています。

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ⓒJAXA