森林火災分野の研修が実施されました(南アフリカ)

2017年8月12日

7月18日~22日 於:南アフリカ共和国、ムボンベラ市ネルスプリット
8月8日~12日 於:南アフリカ共和国、ムボンベラ市ネルスプリット

2017年4月の第3回JCCを受け、プロジェクトが協力する3分野(森林情報、森林火災対策、参加型森林管理)の具体的な活動が始まっています。森林火災分野での主な活動は、1)能力強化研修、2)SADC地域の共通ガイドライン作成、となっています。

今年度の活動の第一弾として、実務者を対象とした能力強化研修を実施しました。テーマは、森林火災の予防のための「計画火入れ」研修です。「計画火入れ」とは、乾季に発生する火災が広範囲に被害が広がってしまうことを防ぐために、予め燃えやすい草などの植生に計画的に火を入れて、延焼の原因を取り除く技術です。器具の扱いなど火をコントロールする技術に加えて、燃焼物管理、地形条件、気象条件、火災危険度などの知識も必要となります。

研修は講義2日間と実習3日間の構成で、必要とされる技術と知識の習得を目指しました。受講者の関心は高く、熱心に取り組み、予め許可を得た土地で実際に枯草に火を付けて計画火入れを実習しました。最初はぎこちなかった火の扱いも、次第にコツをつかんで技術の基本を体得していました。より効果的な研修成果と火を扱うため安全面の対策を配慮して、研修は2回に分けて実施され、延べ27人が参加しました。

今回の計画火入れ研修は、森林火災対策分野のもうひとつの活動であるSADC地域の共通ガイドラインの作成に対して、研修体験をインプットし、フィードバックしていくことも目的としています。こうしたプロセスを通じ、実務に役立つガイドラインの作成を進めていきます。

研修の舞台となったネルスプリットは、森林火災対策のメッカともいえる場所です。南アフリカ政府が雇用対策と森林火災対策を目的として設立したWorking on Fire(注)(WOF)プログラムが拠点をおき、さまざまな研修が実施されています。WOFを主催するKISHUGU社は、アフリカだけでなく南米やアジアでも火災対策の豊富な実績を誇り、プロジェクトの研修以外にも、南アフリカ各地から選ばれた参加者向けの研修が定期的に開催されています。WOFは、SADC加盟国関係者からも森林火災対策のエキスパートとしての評価が高く、プロジェクト関係者の中にもWOF研修の受講経験者がいます。本プロジェクトでは、SADC地域のリソースを活用し、日本人専門家とアフリカ地域の知見と経験を共有してプロジェクトを効果的に進めていきます。

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熱心に講義を聞く参加者

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防護服着用での火入れ実習

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研修を総括するJICA専門家