プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)地球環境劣化に対応した環境ストレス耐性作物の作出技術の開発
(英)Development of genetic engineering technology of crops with stress tolerance against degradation of global environment
(葡)Desenvolvimento de Tecnologia de Engenharia Genetica para Culturas com Tolerancia a Estresses Contra a Degradacao do Ambiente Global

プロジェクト内容

耐乾性・耐暑性等の環境ストレス耐性を持つ有用遺伝子とプロモーター の同定を行い、それらを遺伝子導入技術を用いてダイズに導入する研究を通じ、環境ストレス耐性ダイズの作出技術の開発を行う。

対象国名

ブラジル

署名日(実施合意)

2009年12月28日

プロジェクトサイト

パラナ州ロンドリーナ

協力期間

2010年3月4日から2015年3月3日

相手国機関名

(和)ブラジル農牧研究公社 ダイズ研究所
(葡)Embrapa-Soja

日本側協力機関名

独立行政法人 国際農林水産業研究センター(JIRCAS)(*代表研究機関)
国立大学法人 東京大学
独立行政法人 理化学研究所(RIKEN)

背景

ブラジル国(以下、「ブ」国)は、人口約1.8億人、国土面積約851.2万km2を有し、コーヒー、タバコ、ダイズ等の輸出大国である。特にダイズに関して言えば、「ブ」国では2006/7年には5840万トンが生産され、世界のダイズ総生産量の約1/4を占めている。また、アメリカに次いで世界第2位の生産を誇っている。2020年には「ブ」国のダイズ生産は1億トンを越え、世界第1位になるとされている。一方、世界におけるダイズの消費は増え続け、特に中国では人口の増加や食生活の変化に伴うダイズの消費拡大は著しい。このような状況の中、「ブ」国は、既に世界最大の農産物貿易黒字国であるとともに、世界最大規模の農用地開拓可能地帯を有しており、世界の中でも今後の食糧供給国としての役割を強く期待されている。

しかし、急激な人口増加と工業化による温室効果ガスの上昇によって地球の温暖化が進み、作物耕作地における干ばつ・作物の収量の減少・食糧や飼料の確保といった世界的な問題が生じている。気候変動に関する政府間パネル(ICPP)の第4次報告書では21世紀末には2.1℃〜4.0℃気温が上昇すると予測されている。

そのような状況の中、ダイズやトウモロコシ等、大規模生産で比較的降水量の少ない地域において栽培されている作物を対象とした干ばつ等の環境ストレスに強い品種の開発は、世界的にも最も重要な育種目標となってきている。従来の育種方法により旱魃に強い系統の選抜と育種への利用が試みられているが、近年、世界的に進展している作物のゲノム研究の成果を元に、遺伝子組換え技術による作物の開発が注目されるようになった。

これまでの環境ストレス耐性遺伝子群に関する研究結果や急激に進展しているダイズのゲノム解析技術を基盤として、ダイズの乾燥等の環境ストレスに対する耐性獲得に関与する遺伝子群やその発現を制御するプロモーターを明らかにする。そして、これらの遺伝子やプロモーターをダイズに導入する事で干ばつに強い品種を作出する。さらに、圃場条件において乾燥ストレスに対する耐性等を評価し、耐性遺伝子とプロモーターの最適の組合せを明らかにするとともに、耐性レベルが向上した形質転換系統を選抜し、環境ストレス耐性の作出技術の開発を行う。

なお、本事業は「地球規模課題に対応する科学技術協力」事業の一つとして採択されたものであり、環境・エネルギー等を含めた地球規模課題に対し、開発途上国と共同研究を実施するとともに、途上国側の能力向上を図ることを目指すことを目的としている。日本側代表研究機関として(独)国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、「ブ」国研究機関としてブラジル農牧研究公社ダイズ研究センター(Embrapa Soybean)が、共同研究を実施するものである。

目標

上位目標

(「地球規模課題に対応する科学技術協力」案件のため上位目標の設定はない)

プロジェクト目標

環境ストレス耐性ダイズの作出技術が開発される。

成果

  1. 環境ストレスに対する耐性獲得に関与する有用遺伝子が同定される。
  2. ストレス応答性プロモーターの単離と有用遺伝子との組合せの最適化が行われる。
  3. プロモーターと有用遺伝子の組合せが導入されたダイズ系統が得られる。
  4. 環境ストレス耐性を示す組換えダイズ系統が選抜される。

活動

1-1.
ダイズ等のストレス耐性制御遺伝子の同定を行う。
1-2.
ダイズ等のストレス受容に関与する遺伝子の同定を行う。
1-3.
ダイズ等のストレス応答制御遺伝子の同定を行う。
2-1.
ダイズのストレス応答性遺伝子の探索を行う。
2-2.
ダイズのストレス誘導応答性プロモーターの同定を行う。
2-3.
プロモーターと有用遺伝子の組合せの最適化を行う。
3-1.
ダイズへの遺伝子組換え技術を確立する。
3-2.
プロモーターと有用遺伝子の組合せをダイズに導入する。
3-3.
遺伝子を導入したダイズのT1世代種子を増殖する。
4-1.
乾燥応答性遺伝子の同定と、遺伝子解析を行って、組換えダイズ系統の選抜を行う。
4-2.
高温応答性遺伝子の同定と、遺伝子解析を行って、組換えダイズ系統の選抜を行う。
4-3.
組換えダイズの遺伝子発現解析を行う。
4-4.
ダイズの乾燥ストレス耐性評価手法を確立する。
4-5.
温室での組換えダイズのストレス耐性評価を行う。
4-6.
圃場での組換えダイズのストレス耐性評価を行う。

投入

日本側投入:

(a)日本人派遣:
業務調整員1名
在外研究員および研究者・技術者 計12名
(b)研究員招聘:
14名(1年×5名、1ヶ月×9名)
(c)供与機材:
各種測定機器(小型光合成測定装置等)、研究棟用実験機材(PCR機器等)
(圃場用実験機材)、車輌等
(d)在外事業強化費:
Postdoc.、Ph.D、M.Scの契約(事業開始2.5年間まで)
研究用試料一部負担

相手国側投入:

研究者・技術者:22名

(b)施設、機材等:
執務室、研究室、温室・圃場等のスペース及び維持・管理費、
研究用試料一部負担、その他諸経費
(c)その他
Postdoc.,Ph.D,M.Scの雇用(事業開始2.5年後より)