プロジェクト概要

プロジェクト名

(日)淡水養殖改善・普及プロジェクト フェーズ2
(英)Freshwater Aquaculture Improvement and Extension Project in Cambodia Phase2 (FAIEX 2)

【写真】ロゴ

FAIEX 2のロゴ

対象国名

カンボジア

署名日(実施合意)

2011年1月10日

協力期間

2011年3月1日から2015年2月28日

プロジェクトサイト

カンボジア北西部3州

プルサット州、バッタンバン州、シェムリアップ州(地図上、緑で囲った部分)

ターゲットグループ

対象州の小規模養殖農家および種苗生産農家

相手国機関名

カンボジア国農林水産省

受託団体

インテムコンサルティング株式会社
アイシーネット株式会社

日本側協力機関名

東京海洋大学

プロジェクトの背景

トンレサップ湖およびメコン河を有するカンボジアには豊富な水産資源があり、人々にとって淡水魚は最も容易に入手できるタンパク源のひとつとなっている。実際カンボジア国民は動物性タンパク質の約75%を水産物から摂取しており、年間一人当たりの水産物消費量は52.4kgとされるが、主要漁場はトンレサップ湖およびメコン河周辺に限定され、流通基盤も整っていないことから、他の農村地域では淡水魚供給が慢性的に不足し、農民の栄養改善を妨げる要因となっている。そのため地方の農村域では作物の多様化、タンパク供給による栄養改善、現金収入源として稲田、水路、溜池等を利用した小規模養殖に対する需要が極めて高い。しかしながら、農村での養殖の伝統がなく、飼育ノウハウと養殖種苗の不足が農家の養殖実践の妨げとなっている。

かかる状況を受け、我が国は2005年2月から2010年2月まで、水産物の供給状況の悪い南部4州(プレイベン、タケオ、カンポンスプー、カンポット)に於いて淡水養殖改善・普及計画(FAIEX-1、以下フェーズ1)を実施し、計画目標の倍以上に当たる9000戸を超える対象地域農家に養殖を普及することができた。カンボジア政府は、同プロジェクトの成果を評価し、より貧困程度の高い北西部地域を対象としたFAIEX-2(以下、フェーズ2)を要請した。

これを受け、JICAは2010年5月末と2010年9月末、2度にわたり詳細計画策定調査団を派遣し、水産局をはじめとするカンボジア国政府関係者と協議を重ね、プルサット、バッタンバン、シェムリアップの3州を対象に、(1)種苗生産・養殖技術の改善、(2)養殖普及事業にかかる地方行政の能力強化、(3)種苗生産農家の育成、(4)小規模増養殖活動の展開、(5)種苗生産農家ネットワークの強化・広域化に資する活動を行うことにより、小規模養殖の生産量増加をはかることを目的とするプロジェクトの枠組みを決定した。

本計画「淡水養殖改善・普及計画フェーズ2」のR/Dは2011年1月10日に結ばれ、2011年3月中旬から4年間の予定でカンボジア国農林水産省水産局をカウンターパート機関として実施される。

カンボジア内水面養殖の現状について

カンボジアの内水面養殖は多様である。溜池養殖の形態も主に地方村落や山岳地方で行われる粗放的なものから、都市近郊で準富裕層が副次的に行う半集約〜集約的なものまで、その対象魚種も含めて多彩である。

溜池での粗放的養殖では、在来種のシルバーバルブに加え、過去に導入され既に一般的な養殖対象魚として定着しているティラピア、コモンカープ、シルバーカープ、ムリガルが飼育され、基本的に施肥池での無給餌もしくは米糠など農家で発生する副産物、自家製・市販配合飼料を補完的に適宜給餌する養殖が営まれている。また農家のバックヤード的な小型溜池(150〜250m2)に養豚・養鶏小屋を併設した池、水田地帯を中心に稲田の一角を利用した養殖は農村部で複合的養殖法として推奨されている。

一方、パンガシウス、ヒレナマズ(クラリアス交配種)、スネークヘッドといった商品価値の高い魚種を集約的に給餌飼育する商業的養殖モデルも近年メコン河流域やトンレサップ湖周辺では盛んに行われており、統計上の養殖生産量の相当割合を占めている。

水産局が各州水産事務所(カントンメン)からの聞き取りによりとりまとめた資料によると、全国の養殖生産量(2009年)は約5万トンとなっている。州別の養殖生産量ではカンダルが約1万6千トン、プノンペン8千トンが突出しているほかは各州2000トン未満の州が多く、山岳地帯では100トンに満たない州も散見される。また2010年の養殖種苗の生産者は全国で約200戸とされているが、その半数近くがフェーズ1の対象4州に集中している。輸入種苗を除く国内産の種苗(約7千万尾)の約半分がこの4州の種苗生産者による供給であり、地域的な偏在が著しい。

また最近では従来の粗放的手法による溜池養殖農家においても、業者からの種苗を積極的に買入れるとともに市販飼料購入と定期的給餌を取り入れ、より高い生産性・収益性を志向する傾向が年々強くなっている。さらに農村域にも企業的規模で池養殖を行う経営体の成長がみられ養殖の産業化の兆しが見られる。市場価値が高く、高成長・高歩留りが期待できる魚種(クラリアス交配種、パンガシウス、スネークヘッド)の人工種苗の多くは、依然近隣国(主にベトナム)から輸入され、養殖飼料もベトナム、タイなどからの輸入品利用が多い現状にあるが、小〜中規模養殖は徐々に規模を拡大し養殖産業の分業関係の中に組み込まれながら産業発展に寄与していくという構図が予想できる。カンボジアの内水面養殖は、農村の在来的手法にもとづく農家養殖と企業的な池養殖、さらには種苗・飼料ほか養殖関連資材の供給を担う中間業者の台頭というように、それぞれが関連しながら発展する段階に入っている。

上位目標

対象州において、小規模養殖農家の家計が改善される。

プロジェクト目標

対象州において、小規模養殖の生産量が増加する。

成果

  1. 小規模の種苗生産・養殖技術が改善される。
  2. 養殖普及事業にかかる地方行政の能力が強化される。
  3. 種苗生産農家が育成される。
  4. 対象州において、小規模増養殖活動が展開される。
  5. 種苗生産農家のネットワークが強化・広域化される。

活動

1-1
対象州における小規模の種苗生産・養殖技術に関する問題や課題を明確化する。
1-2
タクビル種苗生産ステーションで技術改良を行う。
1-3
種苗生産農家及び小規模養殖農家で実証試験を行う。
1-4
FAIEX1の技術マニュアルの改訂を通じて、対象州に適合した技術マニュアルを作成する。
2-1
水産行政の組織体系(カントンメン、ディヴィジョン、サンカット)および地方行政体系における地方普及員の役割や業務内容を確認・整理する。
2-2
地方普及員を対象にして、養殖技術・普及方法に関する研修を実施する。
2-3
選定された地方普及員を対象にして、種苗生産技術・普及方法に関する研修を実施する。
2-4
養殖普及活動を分析し、養殖普及要領および優良普及事例集を策定する。
3-1
設定された選定基準に基づいて、対象コミューンおよび種苗生産農家を選定する。
3-2
種苗生産農家を対象にして、種苗生産に関連した研修を実施する。
3-3
主として種苗生産活動の初期段階で、種苗生産農家を支援する。
4-1
種苗生産農家を対象にして、養殖技術に関するTOT研修を実施する。
4-2
種苗生産農家によって実施される小規模養殖農家のための農民間研修(Farmers-to-farmers研修)を支援する。
4-3
設定された選定基準に基づいて、資源増殖のための共有池(CFR)を選定する。
4-4
共有池活動を支援し、共有池実施マニュアルを策定する。
4-5
対象州の農家および地方普及員を対象にして、小規規模増養殖に関する広報活動を行う。
5-1
種苗生産農家間の連携を強化するために、各対象州の種苗生産農家ネットワークの確立に向けた支援を行う。
5-2
各対象州で確立された種苗生産農家ネットワーク間の連携を支援する。
5-3
FAlEX-2およびFAIEX-1の種苗生産農家ネットワーク間の連携を奨励する。

投入

日本側投入

  1. 専門家(短期シャトル型)
    • チーフアドバイザー/養殖普及
    • 業務調整/養殖研修
    • 種苗生産/親魚養成・管理
    • 養殖設営
    • 資源増殖(共有池)
    • 餌料開発
      その他必要に応じて
  2. 本邦研修および/または第三国研修
  3. 現地国内研修
  4. タクビル種苗生産ステーションの改修
  5. 機材供与
    タクビル種苗生産ステーションでの技術改良、種苗生産農家のための孵化開発、研修実施、普及活動などを含むプ口ジェク卜活動に必要な資機材の供与
  6. 現地活動費
    • ワークショップ、セミナーなどの開催費
    • 研修用教材
    • その他

カンボジア側投入

  1. 人材
    • プロジェクトディレクター
    • プロジェクトマネージャー
    • 副プロジェクトマネージャー
    • カウンターパート
  2. プロジェクト実施に必要な執務室および施設設備の提供
  3. 養殖池の建設・整備にかかる費用
  4. その他
    • 運営・経常費用
    • 電気、水道などの運用費