プロジェクト活動

1.プロジェクトの目的と基本方針

カンボジアでは、2004年に提唱された国家開発計画である「四辺形戦略」(注1)を推進するために18の開発セクターごとにテクニカル・ワーキング・グループ(TWG:Technical Working Group)が設置されました。その中の一つとして、女性省を中心として、省庁やドナーの代表をメンバーとした、ジェンダー課題に関するTWG、ジェンダーテクニカルワーキンググループ(TWGG:Technical Working Group on Gender)も設置されています。また、省庁におけるジェンダー主流化活動グループ(GMAG:Gender Mainstreaming Action Group)(注2)の設置やジェンダー主流化活動計画(GMAP:Gender Mainstreaming Action Plan)(注3)の作成を通じて、ジェンダー主流化のためのメカニズムが構築されています。

本プロジェクトは、こうしたジェンダー主流化メカニズムの強化を通じて、女性省を中心に、6つの連携省庁(商業省、鉱工業エネルギー省、農林水産省、農村開発省、労働職業訓練省、計画省)が女性の経済的エンパワーメント促進事業を効果的に実施するための能力強化及び体制整備を促進することを目的としています。本プロジェクトでは、州でのパイロットプロジェクト実施における女性省、州女性局、連携省庁、各省州出先局の協働と、フェーズ1で開発したPGM メソッド(注4)の実践を中心として、以下にあげる3つの主な基本方針に沿って、プロジェクトの目的の達成を目指していきます。

主な基本方針

  1. 女性省及び連携省庁(いずれも中央及び州レベル)の能力強化
  2. 州でのパイロットプロジェクトの実施による政策の検証
  3. パイロットプロジェクトの経験・教訓を中央レベルで政策に反映するためのメカニズムの検討(PGM メソッドの改善・普及)

(注1)グッド・ガバナンスの確立を最優先課題として中央部に、四辺に1)農業セクターの強化、2)更なるインフラの復興と建設、3)民間セクターの成長と雇用創出、4)能力向上と人材開発を掲げ、国家の開発を進めていく戦略。

(注2)カンボジアの24省と3つの政府関係機関に設置されている、それぞれの組織でジェンダー主流化推進を担うワーキンググループ。

(注3)それぞれの省庁・政府関係機関でジェンダー主流化を促進するための活動計画。

(注4)PGMメソッドについては4を参照。

2.基本方針(1):女性省及び連携省庁(いずれも中央及び州レベル)の能力強化

JICAの能力向上のガイドライン(注5)に従い、個人、組織、制度・社会システムの3つのレベルにおいて能力向上を図ります。個人レベルは個々人の経験や知識、技術の習得、組織レベルはジェンダー主流化を促進するための連絡調整機能強化、社会システムレベルではパイロットプロジェクトの経験・教訓を通しての政策提言を行っていきます。能力向上は、1)ワークショップや研修プログラムと2)日常活動のなかでのOJT、の2つのアプローチを通して実施していきます。

能力向上の対象は、下記のメンバーを考えています。

  • プロジェクトのカウンターパートである女性省職員
  • パイロットプロジェクト実施州の州女性局
  • 6つの連携省庁・州出先局のGMAGメンバー/ジェンダーフォーカルポイント
  • パイロットプロジェクト調整委員会(PPCC: Pilot Project Coordination Committee)メンバー:州副知事が議長を務め、州女性局と連携省庁州出先局からなる委員会。本プロジェクトで実施するパイロットプロジェクトに係る調整、管理、意思決定を行う。
  • 女性・子どもフォーカルポイント:カンボジア行政区の一つで日本の町レベルに相当する「コミューン」に設置される「コミューン評議会」の女性議員の中から1名選任される。

(注5)国際協力機構(平成16年)「JICA事業の有効性と持続性を高めるために−キャパシティ・ディベロップメント・ハンドブック」

3.基本方針(2):州でのパイロットプロジェクトの実施

(1)パイロットプロジェクトの目的

女性の経済的エンパワーメントのため、州で実施するパイロットプロジェクトには3つの目的があります。

  1. 事業形成、実施、モニタリング及び評価の過程で女性省、州女性局、連携省庁及び州出先局の職員の能力を向上し、それぞれの組織のジェンダー主流化を促進する。
  2. 女性の経済的エンパワーメントを促進する。
    ※女性の経済的エンパワーメントの促進は、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのためのカンボジア政府の5ヶ年戦略計画である「ニアリ・ラタナIII (2009-2013)」の最優先戦略の一つであり、フェーズ2で重点的に取り組んでいきます。
  3. パイロットプロジェクトから得られた経験・教訓を抽出し、中央政府への政策提言を作成する。

(2)重視すべき点

パイロットプロジェクトを実施する際に重要と考える点は以下の通りです。

  • 計画、実施、モニタリング及び評価のサイクルを重視し、女性の経済的エンパワーメントの実質的な成果を生み出す。
  • 州の政策との一貫性。
  • 5つそれぞれのサブパイロットプロジェクトの相乗効果を目指したパイロットプロジェクトの実施(下図参照)。
  • それぞれのサブパイロットプロジェクトの地理的近接性の考慮。
  • サブパイロットプロジェクトの実施における連携省庁州出先局のイニシアチブ。
  • 州レベルのパイロットプロジェクト調整委員会(PPCC)による全体管理。
  • 民間部門やNGOとの協力促進。

パイロットプロジェクトの概念

【図】

(3)パイロットプロジェクト実施州

第2年次にフェーズ1と同じコンポンチャム州でパイロットプロジェクトを開始しますが、第3年次以降にコンポンチャム州でのパイロットプロジェクトの中間成果をレビューし、他州でのパイロットプロジェクト実施の検討を行う予定です。

4.基本方針(3):パイロットプロジェクトの経験・教訓を中央レベルで政策に反映するためのメカニズムの検討(PGMメソッドの改善・普及)

PGMメソッドとは、フェーズ1で開発されたジェンダー主流化の効果的メカニズム導入手法で、ジェンダー視点に立った既存政策のレビューから、調査分析、施策の計画・実施・モニタリング評価、そして政策立案までの一連のステップを網羅した手法です。

フェーズ2では、このPGMメソッドで示されるステップに沿って州レベルでパイロットプロジェクトを実施し、そこから得られた経験や教訓をもとに、最終的には中央政府へのジェンダー視点に立った政策提言を作成することを目的としています。また、プロジェクト期間中の実践をとおして、適宜PGMメソッドの改善していく予定です。

PGMメソッド

【図】