(和) 水道事業人材育成プロジェクト・フェーズ3
カンボジア
2012年7月18日
2012年11月10日から2017年11月9日
(和) 鉱工業エネルギー省
カンボジアでは内戦後、我が国及び他ドナーの協調によりプノンペンの上水道施設の改善が行われた。また、同市の水道事業運営を担うプノンペン水道公社(PPWSA)は1996年に公社化され、自らの裁量により独立採算で水道事業を行うことが可能となり、更に、我が国が実施した「水道事業人材育成プロジェクト」(2003-2006年)の成果と相まって、アジアにおける最良の水道事業体の一つとなっている。一方で、地方都市の公営水道事業体の給水能力は依然として低く、国民全体に安全な水が行き渡っていない。我が国は、カンボジアでの安全な飲料水へのアクセス率向上に貢献すべく、PPWSAの成功事例を地方都市の公営水道事業体へ展開する方針のもと、地方8州都の公営水道事業体に対して上水道施設の運転・維持管理能力の向上を目的とした「水道事業人材育成プロジェクト・フェーズ2」(2007-2012年)を実施し、一定レベルでの上水道施設の運転は可能となった。
今後安全な水へのアクセスを向上し、それを持続的なものとしていく為には、公営水道事業体を公社化し、給水サービスの拡充と経営効率化に向けたインセンティブが働くようにすることが望ましいが、地方公営水道事業体の多くは、料金収入と運営コストさえ十分に把握していないため、カンボジアにおける標準的な会計基準に従った作成が義務付けられている財務諸表は適切に作成されておらず、ましてや施設及び設備の中長期的な整備・更新計画等も策定出来ていない。以上の状況から、カンボジア国政府は我が国に対して、地方水道事業体の将来的な公社化を念頭に、上水道施設や設備の適時適切な整備及び更新、財務状況の的確な把握と健全化、組織や人材育成に必要な施策の導入といった水道事業経営に関する事項の判断能力向上による安定した水道事業経営を目的とする技術協力プロジェクトの実施を要請してきた。
対象公営水道事業体において、プロジェクト開始当初に比べて水道サービスが向上する。
対象公営水道事業体(TPW)において、プロジェクト開始当初に比べて安定して水道事業を経営することができる。
成果1:TPWにおいて、10カ年経営管理計画(注1)策定に必要な基礎情報を整備する能力が向上する。
成果2:TPWにおいて、施設計画を含めた10カ年経営管理計画の策定能力が向上する。
成果3:TPWにおいて、10カ年経営管理計画の実施状況を定期的にモニタリングする能力が向上する。
成果4:MIMEにおいて、TPWに対する経営状態のモニタリング、計画審査、財務支援(注2)に関する能力が向上する。
成果5:TPWにおいて、人材育成マネジメントやその改善策を分析する能力が向上する。
(注1)施設・設備更新の費用支出計画、施設の拡張・整備計画、運転維持管理の費用支出計画の策定、及びそれらを実現するための財務計画から構成される。
(注2)ここでいう財務支援とは公社化するまでの間、TPWが策定した10カ年経営管理計画をもとにMIMEがTPW全体における優先事業を判断しドナーやMEFからの資金確保の支援を行うこと等を想定する。
【活動1】
TPWにおいて、顧客台帳及び資産台帳の整備を行うとともに、カンボジア会計基準に沿った財務諸表を毎年作成するためのOJTを実施する。
【活動2】
TPWにおいて、施設・設備更新の費用支出計画、施設の拡張・整備計画、運転維持管理の費用支出計画の策定、及びそれらを実現するための財務計画から構成される10カ年経営管理計画と年次計画を策定した後に、計画策定に関する経験を共有するためのセミナーを開催する。
【活動3】
成果2で策定された10カ年経営管理計画及び年次計画の実績を確認/分析した上で、結果をMIMEに定期的に報告するとともに、同計画へのフィードバックを図る。
【活動4】
MIMEにおいて業務指標(PI)を特定し、TPWから定期的にPIの実績を報告するようモニタリングする。またTPWが策定した10カ年経営管理計画や年次計画をMIMEにおいてレビューするとともに、同計画に基づく資金調達を支援する。さらに将来のMIMEのあり方や公社化を含む公営水道事業のあり方を検討する。
【活動5】
TPWにおいて、望ましい組織の将来像を議論した後に、その実現に向けて現状とのギャップを埋めるための方策を特定する。
【専門家】
・長期専門家:チーフアドバイザー/顧客情報整備、業務調整/モニタリング
・短期専門家:8分野(会計基準、資産情報整備、施設更新/運転維持管理計画、拡張整備計画、財政計画、計画審査(施設計画)、計画審査(財政)、人材育成マネジメント)
【研修】
・本邦研修:情報整備(顧客・資産)、施設更新/運転維持管理計画、拡張整備計画、財政計画等の各分野を想定
・第三国研修:ラオス等周辺国での類似プロジェクトとの技術交換
【供与機材】
・施設・設備更新用資機材等
【その他】
・在外事業強化費
-ローカルコンサルタント:
顧客台帳、資産台帳整備、会計基準、人材育成マネジメントの各分野で日本人短期専門家の活動を支援。PPWSA、MEF傘下の研修機関、民間のコンサルタントやNGO等の活用を想定。
・カウンターパートの配置
・プロジェクト事務所スペースと設備の提供
・プロジェクト活動に必要な情報やデータの提供
・プロジェクト活動に必要な費用