日本人短期専門家による労働安全衛生(KYT)研修

2018年4月7日

2018年4月2日~7日

昨年度に引き続き、2018年度初の短期専門家による技術指導研修を実施しました。
前回同様、中央労働災害防止協会所属の鈴木博仁短期専門家が4月初旬カンボジアに来訪し、プロジェクトパイロット校の指導員や労働職業訓練省の担当者向けに、労働安全衛生の危険予知訓練研修(KYT)を2ヵ所(NPICとNTTIでそれぞれ1回づつ)で2日半ずつ実施しました。

昨年度の研修終了後のプロジェクト側からの働きかけにより、おかげさまでこの危険予知訓練研修の重要性が認められ、労働安全衛生の講義内容として昨年10月より改訂された指導員養成研修のカリキュラムに組み込まれました(労働省傘下の職業訓練校の指導員を希望する新卒生は、希望者の中から毎年約300名が選抜されNTTIで実施される1年半の指導員養成研修を卒業しなければなりません)。

ちなみにKYとは日本語での危険予知の省略で、そのまま英語でもKY Trainingと使われています。この訓練は、機材や道具は不要で、スタッフが1人、もしくは少人数のチームで予測される危険を予防する方法について話し合い、声に出して指差し確認をすることで、脳に効果的に働きかけ、危険を防ぐことができ、また、チームメンバーで話し合い、スローガンを唱和することで、チームワークも強化できる、というものです。

本年度は、本プロジェクトの直接対象である電気学科指導員に加え、NTTIの指導員養成研修の指導員、他KYTが必要な関連学科(建設学科、土木学科等)の指導員や労働職業訓練省の関係職員、さらに実際現場でより効果的なKYTの実践が必要な日系企業3社より技術スタッフ5名が参加しました。

研修の内容についても昨年と全く同じではなく、動画を取り入れてよりイメージしやすくし、KYボードを使ったり、指導者の立場から危険予知を指示する手法など発展的なグループワークなども実施しながら、2回目の参加者に対してもより理解度を深めてもらう方策を取りました。
実際何人かの指導員は、昨年度の研修終了後、自分の授業に取り入れ、学生に対してKYTの講義や実習を始めた積極的な指導員もおり、鈴木専門家との意見交換などもなされました。

またバンコクの国際労働機関(ILO)より、須藤職員がカンボジア出張も兼ねて研修最終日に立ち寄ってくださり、カンボジアの建設分野における労働安全についての活動を発表してくださいました。

鈴木専門家は滞在中の過密スケジュールにも関わらず、常に笑顔を絶やさず、研修生達を懇切丁寧に指導されました。研修最終日には、労働職業訓練省より感謝状とともに、これまでの鈴木専門家の技術移転に感謝の意が示されました。

今後も引き続きILOカンボジアの建設分野における労働安全衛生プロジェクトと連携しながら、職業訓練分野でのKYTをはじめこれらの取組みが根づくよう取り組んでいく予定です。

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危険予知訓練のためのグループワークによるタッチ&コールの訓練

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危険予知訓練のためのグループワークによるタッチ&コールの訓練

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KYボードを使ったグループワークの様子

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KYボードを使ったグループワークの様子

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グループワークの振り返り

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ILO須藤職員によるカンボジアでの取り組みの紹介

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労働職業訓練省からの感謝状贈呈