厚生労働省、外国人技能実習機構がプノンペンの職業訓練校を視察

2020年1月23日

当プロジェクトは、労働職業訓練省及び同省傘下でプノンペンにあるパイロット職業訓練校3校の電気・ディプロマコースを対象として、訓練の質の強化に取り組んでいます。2015年9月のプロジェクト開始以降、職業訓練校から多くのカンボジア人のテクニシャンが輩出され、カンボジア国内の産業を支えていくことを目指してきました。

カンボジアの約1,530万人の人口の平均年齢は25歳強で若者が多く、全人口の半分近くが1990年代後半の内戦終結後の生まれです。都市部を中心に高学歴化が進展し、一人ひとりの職業生涯におけるキャリアの選択肢も拡がってきています。貧困からの脱出や豊かさを求める人びとのなかには、国内の都市やタイをはじめとする外国へ出稼ぎに向かう者もいます。このような労働移動の結果としての送金(remittance)は、本国の地元の経済に年間20億米ドル(カンボジアのGDPの1割弱)を超える貢献をしていると言われています(注1)。

カンボジア人が日本で働くスキームには様々なものがありますが、このたび、外国人技能実習制度(注2)に関する政府間協議のため、プノンペンに厚生労働省、外国人技能実習機構から出張者がお見えになった機会に、職業訓練校を見学していただきました。

プノンペンにあるTVETパークは、労働職業訓練省傘下の職業訓練校4校(NTTI/PPI/ITI/NIEI)により構成され、昨年11月には国内技能大会が開催されました(2019年11月8日付け「第7回カンボジア国内技能大会に協力」を参照)。今回はこのうち、当プロジェクトのパイロット職業訓練校であるNTTI(National Technical Training Institute)及びPPI(Preah Kossomak Polytechnic Institute)の実習室等をご案内したのに加えて、ITI(Industrial Technical Institute)において、技能実習候補生の日本への送り出しに向けた訓練を見学していただくことができました。

当プロジェクトでは、カンボジアの方々が電気分野の知識や技術の習得を深め、職業生涯においていきいきとステップアップをしていくことができるよう、これからも当地における実践的な活動に取り組んでいきたいと思います。

(注1)2019年3月のカンボジア労働職業訓練省の発表によると、2018年に国外で就労に従事するカンボジア人約124万人を就労地別にみると、タイが約115万人と9割以上を占め、日本はタイ、韓国(約5万人)、マレーシア(約3万人)に次いで4番目に多い9,195人となっています。

(注2)外国人技能実習制度について

外国人技能実習制度は、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としています。制度の適正な実施及び技能実習生の保護を目的とする法改正が行われ、2019年11月に施行されています。

JICAでは、2020年1月16日、外国人材受入れというオールジャパンで取り組むべき課題について、今後JICAが担うべき方向性を議論し、外国人材を送り出す途上国と受け入れる日本がともに繁栄する道筋を見出し、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目指すことを目的として、「『技能実習生等を送り出す途上国』と『技能実習生等を受け入れる日本』がともに繁栄する道筋を-外国人材の各国制度をとりまく状況と課題に関するフォーラム」を開催しました。

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NTTI校の実習室を視察

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PPI校にて意見交換

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ITI校にて技能実習候補生の送り出しのための訓練を見学