標準訓練パッケージに関する文書化作業の会合を開催

2020年2月27日

カンボジアでは、教育・人材育成の分野においても量・質両面のインフラの充実が求められています。インフラには、物理的な施設や機材もあれば、教材、さらにそれを効果的に教える人材も含まれます。国内の職業訓練校では、多くの分野で、個々の指導員が手探りで独自の教材を作成している状況にあります。

当プロジェクトでは、首都プノンペンにある労働職業訓練省傘下のパイロット職業訓練校3校におけるこれまで4年半近くに及ぶ実践的な職業訓練の実績を踏まえ、昨年夏以降、ASEANに準拠したCQF(Cambodia Qualifications Framework)のフォーマットに基づく、訓練パッケージの文書化作業に取り組んでいます。標準化された訓練パッケージの活用により、各校では訓練の質を高め、ひいては卒業生の質の保証にもつながることが期待されます。また、訓練の実施に必要な機材や用具についても文書に明記されることにより、一層の政府の対応も期待できます。

当プロジェクトでは、電気・ディプロマコース(日本の短大課程に相当)の「Electrical Installation and Maintenance」の職業における文書化作業を支援するため、労働職業訓練省、職業訓練校の指導員に産業界を交えたIAG(Industry Advisory Group)会合を開催してきました。このたび、昨年8月、12月に続き、第3回になる会合を労働職業訓練省(MLVT)において開催しました(注)。

今回の会合では、カリキュラムと学生を評価(アセスメント)する仕組みに関する文書が検討されました。カリキュラムは、当地のニーズに対応して、当プロジェクトが主導した製造業・制御系の分野に加え、電気工事の分野へも配慮した、幅広い構成とすることになっています。評価については、授業単位をいくつかのまとまりに整理することで、学生のコンピテンシー(職業能力)をきめ細かく機動的に把握できるようにしていることが特徴です。

今回の会合に参加者から提出されたコメントを踏まえ、文書のドラフトを取りまとめ、2020年3月以降に開催されるカウンターパートとの一連の会合へ提出され、当プロジェクト・ディレクターであるMLVT長官の承認を得ることを目指しています。

電気・ディプロマコースがコンピテンシーベースの訓練へ移行する時期は未定ですが、当プロジェクトでは、実践的な訓練を可能とする機材と指導員の能力向上の支援を継続し、当地において効果的な訓練プログラムが広がっていくことを支援していきます。

(注)これまでのIAG会合の活動は、下記のプロジェクト・ニュースでご紹介しています。

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労働職業訓練省の前で出席者の集合写真

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職業訓練校の指導員がドラフトを確認しているところ

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コンサルタントと産業界からの出席者が議論中

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IAG会合の全体の様子

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労働職業訓練省の担当幹部を交えての閉会式