慶応大学柏木教授による経済開発における税制・銀行行政・財政の役割に関するセミナーを実施

2017年11月23日

2017年11月23日、慶応大学柏木教授を招いて経済開発における税制・銀行行政・財政の役割についてのセミナーを実施しました。柏木教授は日本の元財務省職員で、IMFやADBでの10年以上のご経験があり、その経験や知見を基にした今回のセミナーの実施となりました。カンボジア経済財政省の職員、租税総局ならびに税務署の職員のみならず、国立銀行の行員、商業省や計画省、工業手工芸省など、幅広い層からの参加者があり、計250名が参加しました。
ミン・バンコサル租税総局副総局長からの歓迎の辞からはじまり、武藤チーフアドバイザーの基調講演、パン・パラー経済財政省次官補の開会の辞が述べられた後、柏木教授から経済開発における税制の役割について、グローバリゼーションとは何か、グローバリゼーションの中における経済開発と国の歳入につき講義がありました。グローバリゼーションの中、投資する企業向けに、他国よりも低い税率や税制のシンプル化、透明化が重要であると述べました。カンボジアは近年目覚ましい経済成長を遂げ、租税・関税からの税収も著しく増加している一方、税制が不透明でかつ複雑との指摘もあり、将来これらをシンプルかつ透明にして、競争力の高い国家となる必要性があると主張しました。
午後は、経済開発における銀行行政・財政の役割について講義がありました。国の経済規模を大きくするためには、国民の財を市場経済の中で循環させることの重要性のほか、国民が銀行に財を預けやすくし、その財を銀行が民間セクターに貸し付けることで投資が進み、経済開発が進んでいく循環が生まれると説明しました。しかし、カンボジアは国民貯蓄率が低く、国民の財が市場経済に出回っていない上、自国通貨ではなくドルが流通しており、金融政策も取りづらいディスアドバンテージがあり、この状況を改善するため、規制緩和が必要であり、バランスの取れた政策を打ち出していくべきだと説明がありました。

参加者からも柏木教授の講義はカンボジアの現状を的確に掴んでおり、かつ日本や他の国の経験を踏まえて講義があったので、大変参考になったと好評でした。

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セミナーに出席したケン・サンバット租税総局副総局長、ミン・バンコサル租税総局副総局長、パン・パラー経済財政省次官補、柏木教授、武藤チーフアドバイザー(左から)

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歓迎の辞を述べるミン・バンコサル租税総局副総局長

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開会の辞を述べるパン・パラー経済財政省次官補

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講義をする柏木教授

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セミナーの様子

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熱心に聴講する参加者の様子

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閉会の挨拶と参加者に激励をする武藤チーフアドバイザー

【画像】セミナー終了後の全体写真